魔王の呪いで女の子になりました、元の世界に帰ったのでお姉ちゃんと付き合います!
異世界では凛々しかった勇者、魔王の呪いで美少女になる。
「お姉ちゃんと一緒にお風呂入れる!」
案外楽しんでいるようで。
「これが、呪い」
鏡を見て、その人は呟きます。
『くっ。なぜ、この魔王が』
『観念しろ、魔王!』
『ならば、道連れだ!』
『なにっ!?』
『元の世界には、帰れるだろう。だが、ただでは帰さんぞ!』
「オレ、女の子になっちゃった」
勇者で、少年だった。
元の世界に帰ることはできた、魔王を倒したから。もっとも、殺せはしなかったが。
時間も、わずかしか経っていない。1日行方不明になった、それだけ。
「畜生…」
少年から、少女へ。しかも、可愛らしい。
「お姉ちゃんと一緒にお風呂に入ったりできるじゃねえか!」
異世界では勇者だった。格好よく、魔法使いなどを引き連れた、たくましい。
だが、実は2歳上、今は高3で生徒会長の実姉が大好きなシスコンである。
「なぜだ…」
学校、廊下。
歩きながら、高3の生徒会長は口にする。
「お姉ちゃん! 今日は一緒にお風呂入ろう! ワタシと付き合おう!」
「確か、コイツは弟だったはず」
「付き合おうよ、お姉ちゃん」
「もう少し、節操があったはず。
何なんだ、本当」
実姉はため息を吐く。
昨夜、行方不明だった弟が見つかった。
なぜか、弟の部屋にいた。
そして、どうしてか、弟が妹になっていた。
知らない人なんじゃ? という普通の疑問と、コレは私の弟だという謎の確信が混ざって。
変な感じ。
からの、第一声。
『お風呂入ろう、一緒に!』
ふざけるな、そう実姉は返したが。それでも諦めてくれず。
「あれか? 叩いたら直るのか?」
傾げる。
「ねー、お姉ちゃん」
「うぜえ。
私は自分の教室に行くから。お前も自分の教室に行け」
「はーい」
「あと、せめて学校では近付くな」
「ワタシの魅力に」
「マジうぜえ」
「学校ねえ。
勉強全部忘れたんだよな、1学期でよかった」
元勇者は安堵する。
身体能力は、わからない。勇者のままかもしれない、体が変わったし、それは未知数。
だが、学力は、からっきし。異世界の旅で全部なくなった。
「頑張らないとな」
そう言って、席に着こうとする。
が、
「オレの席、どれだっけ」
それも忘れてしまった。
仕方ないので、
「すみません」
席に着いている少年に聞く。
「うむ?
げっ」
げっ、て何だよ、と思いつつも、自分の名前を言って、
「席、どこ?」
「知らぬ。いや、知らない」
「知らない?」
「我、いや、俺にもわからない。まだこのせ、いや、この学校に慣れていなくてな。すまん」
「いいよいいよ。ありがとう」
笑顔で少女は少年にお礼をする。
少女は自分の席がわかり、着く。
その隣で、
「なぜ、なぜ我と勇者が同じ学校に。
しかも、隣だと!?
ぬぬぬ、我は慌てて困る勇者を遠くから嘲笑ってやりたかったのだが。近くにいて好都合? だが、近すぎぬか?」
「どしたの? ぶつぶつ言って。お腹痛いの?」
「い、いや、何でもない」
「そっか」
「しかも、無駄に可愛い…!
性格も違いすぎる…! 我の世界では凛々しかったはず。こんな、こんな奴では。
恋する前に呪いを解くか? だが、それでは、我だけの損ではないか。既に慣れていやがるし」
おかしな関係は、はじまったばかり。
ありがとうございました。




