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男女比が偏った世界における結婚義務法に基づくご案内

作者: 畔木鴎

 最初はよかった。転生して喜んでいたのだ。

 しかも俺が生きていた国とほとんど同じの快適具合だ。さらには男女比が偏ってるときた。ハーレムが作れると思っていたのだ。

 だがそれも成長していくとともに疑問が募り、小学六年生になる頃にはすっかりグレていた。


「うっせーな!母親ヅラしてんじゃねぇよ!!」


 これが十二歳の男児から出てくるのだから随分な荒れようであるが、まずは俺の言いたいことを言わせてほしい。


 まず原因の一つとして、俺が生まれたこの国の男女比は1:22であり、男児に甘い人間が多い。未婚の女性は特にそれが顕著だ。

 もう一つが、男を守っていこうという働きがある、というところだ。

 例えば、年に四度の健康診断。小学校の男子校化。そして、外界との遮断。幼少期には簡単に屋外に出させてもらえない。

 男児を産んだ女性は国からの手厚いサポートによって育児に専念し、希望を出せば保護官の派遣もしてもらえる。人工授精が主となっているようで、そこら辺の法整備も万全ときた。


 では、そんな環境で男児が初めて出会う身内以外の女性は誰か。答えは、小学校の先生だ。

 俺以外の小学生男児にとって、一年生の担任として出会った先生は恐ろしい存在として映ったことだろう。しかし、基本的に低学年は熟練の先生が受け持つことになる。そして俺たちも慣れてきた頃になってようやく若手の先生が担任として着く。


 ここで冒頭の台詞が出てきたわけだ。勘違いした若い女教師に対して、我慢の限界が来てのことだった。


 熟練の先生が相手の時はよかった。低学年時に俺が当たった先生はみんな子持ちだったし、距離感というものがわかっていた。だが若手は違う。

 児童の第二の母として慕われ、頼りにされ、他の職業の女性から羨望の眼差しで見られる女たちだ。

 プライドが高く、助言は先輩からしか聞かない。

 母性が爆発し、まるで我が子かのように生徒を扱う。

 そんなことは日常茶飯事で、生徒の贔屓も当然ある。自分の思い通りにできると思っている。


 ムカつくよなぁ……前世の記憶がある身としては。

 俺は入学時から比較的ひねくれた感じだったから、おばあちゃん先生は苦労したことだろう。時間をかけて距離感を測り、必要以上の干渉はしない。一見、全員を平等に扱っているように思えた。内心どう思っていようと、そう扱っているというポーズだけでも十分だったのだ。


 だが今の担任はどうだ。自分に従順な生徒への忖度は当たり前。苦手な生徒へは雑な対応をすることも珍しくなく、先輩からのアドバイスと変なプライドが合わさり、結果として気持ち悪い行動をすることもある。その気持ち悪い動きを見るのは誰かと言うと、素行が悪く、他の生徒からも距離を置かれがちな生徒──俺なのだ。


 で、そんな素行が悪い俺が冒頭のような暴言を吐くとどうなるか。答えは簡単、熟練先生から怒られる。

 生徒を怒るための小部屋というかライオン部屋というか、まぁ、あまり使われない部屋で先生と一対一でのお話しが始まってしまう。


「で、なんでそんなことを言ったの?そんな子じゃなかったじゃない」


 俺のことを怒っているのは、一年生の時に担任だった笹岡先生だ。歳は五十五。経験豊富なおばあちゃん先生で、俺のことを他の生徒とは違うとすぐに見抜いた人だった。


「みのりちゃん泣かせちゃったんでしょう?このままだと悪い子になっちゃうよ」

「小学生に泣かされるとか」


 俺が暴言を吐いた件の先生が「みのりちゃん」。十二の男児に声を荒げられて泣くような人間だ。


「俺はあの人の財産じゃないの。忖度するような人間の機嫌を取るなんてごめんだし、俺がやってることに口を挟んでほしくない」

「そう……たとえば何をしてる時にどんなことを言われたとか、教えてくれる?」

「友達とサッカーしようと思ったら「外は駄目」とか言うくせに、俺が一人で外で遊んでる時には何も言わない。気に食わないことがあったら露骨に機嫌が悪くなるし、そのせいで友達から煙たがられる。なんにつけて行動を制御しようとしてくるからさ、もう我慢できなくなって」

「そっか……うーんそれはまた難しいね」


 笹岡先生が頭を抱えてしまったが、俺の口は止まらない。


「難しいことないでしょ。プライドが高くて、周囲に男児が集まるのを喜ぶような終わってる人間性なのはもう直しようがないけど、平等に接するのがそんなに難しいの?いや俺だって多少は我慢するけどさ」


 笹岡先生は俺の言葉にさらに頭をかかえて「ちょっと考えさせて」とどうにか言葉を捻り出した。

 その結果がどうなったか。


 保護者、俺、笹岡先生で三者面談が行われ、俺の教室だけ副担任が新設。副担任に俺の対応をぶん投げたみのりちゃんは俺を無視し、俺と交友のある男児から距離を置いた。


 もはや問題児や腫れ物のような扱いを受けてしまっては、ため息を吐くしかない。

 さらに最悪なのは、状況が変わったのが学校だけではないということだ。


 家庭内では母親が俺との接し方を変えるし、そのせいで俺もぎこちない反応しか返せない。外に出て遊べないから、簡単に鬱憤も晴れない。

 一番最悪なのは、俺に内緒で保護官を雇ったことだ。俺がただの小学生なら気づかなかっただろうが、転生している以上、他の小学生よりも視野は広いし、思考は深い。ふとした拍子に気がつくともう駄目。何をしても監視されていると脳裏に刻まれた俺は、一人で他人と遊べるゲームに傾倒していった。


 中学に上がる頃には母親との関係値は最低スレスレで、母さんはとても男を生んだ女性とは思えないほどのストレスを感じていた。

 俺だって改善しようと頑張ったが、自分で考えられる分、空回りしてしまっていた。


「迷惑をかけてごめん」

「保護官なんて要らない、今までの生活がしたい」


 言葉を重ねるたびに何が正解かを迷走する母さんは見ていられなかった。

 ママ友に相談はしていたのだろうが、そのほとんどは俺には当てはまらない。だって、前世の記憶があるから。

 ハンバーグや唐揚げが夕食に出ようと、心はあまり弾まない。俺には童心がなく、それを補おうとも思わなかった。空回りするだけだとわかっていた。


 外に出ず、生まれてからの数年を母親の話とテレビからの情報で過ごして変わるほど、前世は軽くない。女性が多いから外は云々言われたって、俺には実感がない。経験がない。

 小学校で初めて他の男を見た。友達になれた。周囲よりも精神的に大人だから、困っている奴がいたら助けたし、実際、先生の次に頼りにされていたと思う。

 そこに「みのりちゃん」だ。周囲に頼りにされていた俺が自分に靡かないとわかってからの行動は上記の通りで、気分のいいものではない。納得がいかないことがあれば反論する俺は、彼女からすれば目の上のたんこぶだったろう。

 これが性欲があればまた違う道があったのかもしれないが、二次性徴が遅れていた俺にとっては、ただの嫌味な、社会を知らない女教師でしかない。


 笹岡先生にそのことを吐露したもんだから、俺の情報は小学校の全先生が共有していた。

 小学校卒業のタイミングでは既に進学予定の中学校側にも情報が共有され、対策会議が行われたに違いない。

 俺の学年だけ全教室に副担任が着いていたのには失笑が出た。露骨すぎて笑えんわ。


 友達の何人かは同じ学校に進学したが、クラスが異なるのにあわせ、女子たちに囲まれていてどうにも話しかけづらい。

 女子からすれば、俺たち男と結婚できるかどうかで今後の生活が天と地ほどの差がひらくから、そりゃ必死にもなる。そして男側もここで大事な縁を見つけることができるかどうかが今後に大きく響く。


 精子提供義務、複数人との結婚義務……と、それなりにある性関連の義務の相手をしてくれる女性をここで選ばなければならないのだ。仕事をしたくない男は高校に行かないし、世間体としてそれが許されている。大切なことが他にあるから、それさえできていれば最低限問題ない、と。


 男は小学校の授業で子孫繁栄の大事さ、男に生まれたことへの使命を学ぶ。現代日本で童貞を捨てるよりも緊張するだろうし、行為には大きな意味がある。その時、身近で安心できる人物が相手であれば、そういったプレッシャーもある程度は軽減できるはずだ。

 だって親の次に信頼できる先生にそう教わったから。前世よりも具体的で的確な性行為に関する授業も多く、年齢的にも興味津々。植え付けられた使命感を持って中学に上がる彼らの理性なんて猿にも劣る。

 好都合にも周囲は女子で囲まれ、クラスに男は一人だけ。ちょうど異性にも興味が出てくる年頃だ。女子も男に興味津々で、なんなら誰が一番男と仲が良いかで争っている雰囲気さえ伺える。

 気を引こうと必死な女子たちを見る男はまさに王様気分に違いない。


 たまに顔を合わせた時に聞く友達の下世話な会話は、ひどく俺の心から熱を奪っていった。

 プライドが高くなり、限られた女性しか抱かない。気の強い女を屈服することに快楽を覚える。

 自らのハーレムを群れと認識して校内で幅をきかせる。他の男と女の質で争い出す。


 どちらにしろ、見ていて気持ちのいいものではない。

 反骨心と言うべきか、この世界に染まれば俺も裸の王様になってしまうような気がして、自分の行動を修正する気にはならなかった。

 けれどこの時には俺にも性欲が生まれていたし、仲のいい女子は何人もいたのだ。

 ハグもキスも。一定以上の仲であれば、望まれるままに行った。それでも、性行為だけは頑なに拒んだ。それは生前の錆び付いた青春に縛られているからだろうか。小学校生活で、この世界の常識は煩わしいものだ、疑わしいものだ、だなんて強く感じたのが原因の一つであるのかもしれない。


 さぁ、比較してくれ。

 間違いなく前世よりも薔薇色の人生だ。望む物は買い与えられ、女は勝手に寄ってくる。将来はニートを約束され、性欲を満たすだけで褒められる。

 ただ、それ以外での充実感はなかった。


 そこで俺は気がついた。

 青春に必要なのは、一緒に馬鹿みたいに騒げる男友達だった、と。


 だが、ふと隣を見ると周囲にハーレムを引き連れたかつての友がいる。あぁなんて素晴らしい世界観だ。全くもって馬鹿らしい。


 俺がそんなんだから、俺と交友関係のある女子たちは普段あまり近づいてこない。他の男にモーションをかけても俺は嫌わない、対応を変えない。その代わり抱きもしない。表立って一緒にいる必要がない。


 女友達との付き合いもあまり得意じゃない。

 一人がくっついてきたりとか、そういうのはいいのだ。人数が増えると俺が面倒くさく感じてしまうのが悪い。そういうたちなのが悪い。

 前世と今世の最初を一人で完結してしまえたから、余計に今がツラい。


 周囲は普段から女子だらけ。しょうもない話をしてくれる男はいないし、俺の言葉は常に複数人の耳に入る。女子と一対一の会話なんて、それこそ密会するような時だけ。それも場合によるが。


 俺がまったく性行為をしないもんだから勃起不全だと勘違いした連中からからかわれるし、俺が手を貸したことのある友達も馬鹿にし始めた。

 相対的に俺の価値が低いと感じると離れていく女もいた。男からの執着がほしい女子との相性がとことん悪かった。

 俺は「男の義務」だとか「使命感」で生活をしてなかったからだ。

 王様化した他の男と比べてプライドが低いものだから、仲良くしていた女が次の日には他の男の隣にいても怒らなかった。

 そういう時はさすがに気分が悪いが、一々文句を言いに行くことはなかった。


「だって彼女じゃないし」


 不特定多数と仲がよかろうと、一夜の関係でも、セフレでもない。

 前世と今世の価値観がごちゃ混ぜになって自分の中で混沌としていた。

 俺は彼女たちの求む物をあげられていないから、隣にいることを強制しない。一夫多妻制のこの国でおかしいのは俺だけだ。


 だから俺に寄ってくるのはおかしい女ばかりだった。

 他の男に捨てられた奴。

 そもそも男子に興味がない奴。

 とにかく、レールから外れた人間が多かった。


 そういう人間は可哀想で、影があって、弱く、庇護欲がそそられ、他の男を知っている。それだけでこの世界の女とは違って見えた。

 前世と同じように付き合える人物は俺にとって貴重だった。

 一緒に過ごしていくうちに、自分が惹かれていくのを感じた。

 デートを重ねて、スキンシップを重ねて、唇を重ねて、身体を交えた。彼女は、俺の初めての人になった。


 ここまで交流したのだから、と。俺は思っていた。

 逢瀬の中で吐露した苦悩は幾つもあり、愛情と共に彼女へと注ぎ込んだ。俺の事をわかってくれるのは君だけだ、と。


 女を知ってから、俺のメンタルは一時的に回復していた。そして彼女も、俺と過ごしていくうちに笑顔が増えた。


 でも、根本から違ったんだ。


 はじめは自分の耳を疑った。気が狂いそうだった。


「あ、そうなんだ……俺って共有財産みたいな?そんな感じ?俺なりにちゃんと悩んで君を選んだつもりだったんだけど…………」


 一人を選んだつもりだった。でも二人になった。

「この子も救ってほしい。大切な友達なの」

 そう彼女に言われては仕方がない。自分に出来ることをやった。三人で遊んだ。

 遊園地。水族館。動物園。映画館。オシャレなカフェ。夜景。

 凡そ学友としてできることをやってあげた。一緒に楽しんだ。

 それがいけなかったのだろうか。

 この世界の女は前世よりも男を求める。重婚なんて当たり前。良い雰囲気から肉体関係になるのはあっという間だった。

 これが俺にとっての過ちだった。群れた女がどんな行動をとっているかは、普段から目にしているはずだった。

 ……これは見えないふりをしていた俺への当て付けか?


 今まで女を知らなかった俺がついに堕ちた。


 俺のことを自分たちが独占したと周囲に喧伝する様は、僕が望んでいたものとはまるで違っていた。


 二人とは関係を断ち切った。

 自分が恋だと信じていた感情は、どうも違うものだったらしい。


 男なら誰でもいいのか?

 マウントを取るために身を許すのか?

 俺の価値が低くなれば捨てるのか?

 恋ってなんだ?

 何を信じればいいんだ?


 もうまったくわからなかった。


 俺は不登校になった。

 家でずっとゲームをやっていた。

 ネットは平等だ。年齢は表に出ない。声を出さなければ性別も。それは今も昔も変わらない。


 母さんとの会話もなくなり、中学卒業と同時に家を出た。

 転がり込んだのはゲーム仲間の家だ。条件はあったが、身体で払うだけですんだ。シンプルな関係は安心した。エロ漫画のような展開だろうと、この世界の何倍も受け入れられた。


 体勢を整えた後はマンションの一室を借りての一人暮らしを始めた。生活費は諸々の義務を果たすだけで補える。

 なんとも心地の良い生活だった。

 誰のことも気にせず、自分の好きなように生きられる。

 今の年齢的に男性の義務は少ない。

 それで金は入ってくるし、足りないならバイトをすればいい。


 そう思っていたのだが、国はそうは思わなかったらしい。ここでも俺は不出来扱いだ。

 家に届いた「初回通告書」と銘打たれた手紙の内容を精読すれば、周囲からどう思われているかを殊更に自覚させられる。


「貴殿は現在──歳であり結婚義務法第2条に基づく結婚適齢期に近づいております。本法は男女比の均衡と次世代の育成を目的として制定されたものであり、貴殿のような男性市民に課せられた重要な責務です」


 この身に生まれ、自分の携帯端末を持つようになってからできる限りの情報を集めたからわかる。

 これはただのイチャモンだ。高校に行かないのにフラフラとしている俺への当て付け。

 婚姻の義務まではまだ一年ちょっとの猶予がある。腹が立つ。けれど、政府から異端だと言われれば、俺は黙ることしかできない。


 今から女性を見つけて仲を深めるにしても、世間一般的な俺はド底辺の男だ。振り向いてくれるかは怪しい。かといって現状を維持して政府の宛がった知らない女と結ばれるのも嫌だ。


 そんな俺が頼ったのは独り立ちの時に手を貸してくれた女性だった。彼女の名前はレンジョウ。とあるゲームで繋がりを持った彼女のことを、俺はレンと呼んでいた。


「急にどうしたかと思えば、そんなことで連絡してきたの?」

「そんなことって……こっちは真面目に」

「オフ会でもすれば?何人か共通の知り合いいるでしょ、気まずくなって終わりってことはないんじゃない」

「オフ会か……」


 携帯越しに話すレンの声色に違和感はない。いつも通りの彼女がそこにはいて、彼女が言うから良い案のように思える。

 言われてみればそうだ。ギルド、クラン等、他プレイヤーとの協力要素があるゲームにおいてオフ会はあまりにも定番だが、その存在を忘れていたのは単純に、俺が誘われたことがないからだった。

 ゲーム友達が多くない、というはあるのかもしれないが、それ以上に、俺が男というのもあるのだろう。オタサーの姫ならぬ、オタサーの王子のいざこざは耳にすることも多い。


「あのね、あんたがそういうの好きそうじゃないから、みんな遠慮してたの。女子会は何回かあったのよ」

「誘ってくれたらよかったのに」

「歳を考えなさい」

「別に食事するだけなら問題ないだろ」

「自分が男だってわかってる?見た目も極端に悪くないし、落ち着いててオラオラしてないし、でも女慣れしてそうだし、狙ってる子は多いんだから」

「褒められてるのか?というか、歳のことを言うなら中卒の俺と寝たレンは一体……」

「うるさいわね!!」


 携帯越しに吼える彼女から耳を遠ざけ、目を細める。自分はこの世界に馴染めていないとばかり思っていたから、彼女のここまでの本音を実際に耳にして安心した。


「なぁ」

「なに?」

「オフ会の前に二人で遊ばないか?」

「ん、なんのゲームやる?」

「いや、ゲームじゃなくて。リアルで」

「それは……その……期待、していいの?」


 上擦(うわず)った声に苦笑いが浮かぶ。

 彼女が結婚していないのは知っている。俺より歳上だし、同年代の男は表に出てこないから、これが最後のチャンスだと思っているのかもしれない。

 レンにはお世話になったし、個人的な情もある。短い間ではあったけれど、一緒に過ごす中でお互いがどういう人間かを知る時間は十分にあった。

 だから、過程を経て尚、期待してくれているのが嬉しかった。


「レンなら歓迎だ」


 どうしてか彼女を作ることに拒否感はなかった。充電期間と言うには犠牲は多かったものの、この日、俺は自分の居場所を見つけたような気がした。

 それはずっと近くにあったもの。俺の生き方が築いてきたものだった。

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