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恋が人を食う〜天使くんと恋愛頭脳戦する怪物の子〜  作者: くびつりのこびと
エピソードI 【フィクションの恋】
16/49

15.帰り道

「ねぇ、キキって茂木田つぶ子と付き合ってるの?」


「そんな風に見えたかもしれんが、お互いに恋愛感情が無い事だけは確かだな、連絡先を交換しているが、メッセージは仕事の内容だけだし、待ち合わせして出かけたりしたのも先週が初めてだ、その目的もオーディションについての質問、つまり完全なビジネスフレンドだよ」


 帰り際、事務所に成果報告をしに行く途中でゼンから関係を問い詰められるものの、俺は即座に否定した。


「だけどどう見てもただの友達って感じじゃないだろ、あれは明らかに恋してるような雰囲気だった」


「そうそう、確か天使くんの頃から沢山共演もしてるんだよね、だったら実は隠れてデキてても不思議じゃないよね、実際見た目だけならお似合いの二人の訳だし」


「まぁ今口で説明しても理解出来ないだろうけど、あいつは演技の天才だし、だから自然と人に好かれようとする演技をする、つまりあれが平常運転って事だよ」


「そう、なのかぁ?、いや、確かに愛嬌があって誰にでも愛想良く接するタイプだとは思うが、さっきのは明らかに一線越えてるような、ライクじゃなくてラブが確定したような感じだったろ」


「それにあんなかわいい子に演技でも迫られて恋愛感情湧かない事なんてあるの?・・・はっ、もしかしてキキは、既にジョリーさんに掘られて目覚めちゃってるのかな・・・」


「俺はまだ新品だよ、それとつぶ子のあれは恋人役の演技だ、俺とつぶ子は共演しまくってるから、それでつぶ子は世話焼きの妹役やら両片思いでからかってくる同級生役やら、無人島で一緒になった幼なじみ役の〝役の距離感〟で俺に絡んで来るんだよ、俺だって勘違いしそうになった事はあるが、でもこのメッセージの数がつぶ子の俺に対する執着をはっきり現していると言える」


 そう言って俺はつぶ子とのやりとりが記録されたメッセージログを表示させる。


「えーと、・・・メッセージ数少ないな、しかも仕事のやり取りしかしてない、確かにこれで脈あるかって言われたらなしだな」


「4年間で100件も無いって普通に友達判定していいのかも微妙なレベルだね・・・、いやまぁ、ビジネスフレンドならこれくらいなのかもしれないけど」


「ま、つまりこういう事、俺はつぶ子の距離感に合わせて仲良しを演じてるだけ、俺もつぶ子も互いに恋愛感情とか無いし、俺はつぶ子に合わせて人前では最高の友達を演じてるってだけの話なんだよ」


「なるほどな、・・・って、なんかメッセージ来てるみたいだぞ」


「ん、つぶ子からか、ええと、明日暇ですか?、か、今のところは予定は無いが・・・」


 俺は直ぐに「大丈夫」という文字の〝天使くん〟のスタンプ(アニメ版)を送る。

 するとつぶ子から「やったー」という文字の〝天使ちゃん〟のスタンプが帰ってくる。

 そしてつぶ子から要件が送られてきた。


「明日、一緒に芝居をしましょう、待ち合わせ場所は・・・か、初めての誘いだな・・・」


「なんだデートの誘いか?」


「やっぱり脈アリだった系?」


「いいや全然、多分これから共演が増えるから今のうちに俺が足を引っ張らないように教育したいんだと思う、多分芝居の稽古かな、つぶ子はストイックだからプライベートも芝居の事しか考えてないだろうし」


「とか言いつつ誘われて嬉しくない訳ないよな」


「二人きりで待ち合わせとか完全にデートじゃんね」


「・・・ま、今回のオーディション、受かったのはつぶ子のアドバイスのおかげでもあるし、お礼はしようと思ってたから、丁度いいしお礼してくるよ、それがデートになるかは分からないけど」


 しかし珍しい話だ。

 つぶ子は一流の人間にしか興味が無い。

 三流の俺に構うのはつぶ子の人生の損失だと思っていたが故に今まで俺は距離を置いていたが、まさか向こうから誘ってくる事があるとは夢にも思わない話だ。

 先週のたった2時間のカラオケでさえ、俺はつぶ子を失望させないようにと神経を張り巡らせて粗相をしないようにとひどく消耗したのだから。

 明日、無事につぶ子を満足させる事が出来るかは不安しかない。


 俺たちは事務所でオーディションに受かった事を直接報告し、デビューに向けた次の仕事、デビュー曲やライブなど、『STAMPofVenus』がどのようにしてデビューするかの説明をジョリーから直接説明を受けて、その日は解散したのである。


 『STAMPofVenus』はメンバーがまだ3人しかいない事、俺以外の二人が普通に名門の進学校に通っていて人気が出ても仕事を増やせない事を理由に、デビューは予算をかけずに行うとの事らしい。

 ジョリーの方針で活躍させるのは下積みで数年活動したグループじゃないとしないのが習わしだが、それも最初からゴリ押しすると後からスキャンダルやメンバーの脱退でグループ解散のリスクが大きくなるから当然と言えば当然の事だ。


 だがそのデビューの方法、それはケイとゼン、そして俺も、それには驚かずにはいられないものだった。


 だから俺たちはジョリーから説明を受けた後に、不満を愚痴るようにドーナツ屋で作戦会議を開いたのであった。

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