物語の開幕
ここがエスパシオの街かー
彼女の名前はステラ。
ステラは今日も無限に広がっている宇宙を旅していて、今回は初めて太陽系の近くにあるエスパシオの街に来ていた。
ステラの髪は、腰ぐらい伸びてる黒い髪に青いインナーカラーをしていて、瞳も黒く、高校生の制服をして着ていて、動きやすいようになのかショートパンツを穿いている。
彼女は何メートルも続く大きな建物を眺めると、都会の雰囲気を感じたのかワクワクした気持ちが溢れてきた。
まっすぐ歩いていると、人がたくさん集まってる場所に出くわしたけど、ステラは空中浮遊で楽々とその群衆を飛び越えることに成功した。
ん、遠くに文字が書いてある……エスパシオ駅?
駅ってなんだろ……惑星の建物を参考にしてるのかな?
視線を下げると、目の前には大きな噴水と遊び場が広がっていた。ブランコ、ジャングルジム、滑り台、アスレチックもあり、子供から大人まで多くの人達が楽しんでいた。
楽しそうだけど……今日は我慢!!今日は、冒険者ギルドに行くんだから!!
遊び場から右に視線を移すと、大きなエレベーターがあった。
エレベーターの周りには丸く囲っているガラスがあり、割れている。
ん?なんでエレベーターがあるんだろ??しかも壊れて使えなくなってるのかな?
それより、冒険者ギルドってどこにあるんだろ?近くの人に聞いてみようかな
ステラは近くにいるお姉さんの袖を引っ張ってみると、お姉さんはステラを見てしゃがみ込み、こう言った。
「こんにちは、どうしたのかな?」
ステラは紙とペンを魔法で取り出し、文字をお姉さんに見せた。
『冒険者ギルドって何処にあります?』
お姉さんは文字を見て一度頷き、立ち上がった。
「一緒に行こうか」
お姉さんはボクの手を握り、一緒に冒険者ギルドへ向かうことになった。
しばらく歩いて冒険者ギルドに到着すると、お姉さんは手を離し「バイバイ」と手を振って歩き始めたので、ステラも手を振り返しお姉さんとお別れをした。
扉を押して入ると、小さな鈴がチリンチリンと鳴った。
ギルドに入ると、清潔で白い内装が広がっていた。所々に植物が配置されているが、宇宙には植物がないため、それらはおそらく人工植物だろう。
左側の広い空間には机と椅子が配置されており、何人かの人が座って物珍しそうにボクを見つめていた。
とりあえず視線を気にせず、さっきからしつこく視界に入ってくる大きな看板を見てみた。……この看板、浮いている!!
看板には、こう書かれていた。
冒険者ギルドへようこそ
1階 冒険者手続き
2階 武器取り扱いコーナー
3階 トレーニングルーム
4階 ぬこカフェ
その他 冒険ランク突破施設、イベント
なるほど冒険者ギルドにはカフェがあるのかぁ、しかも、ぬことは……ぬこアレルギーの人はキツそうだ。
受付カウンターの方を見ると、遠くからでもわかる高身長でガタイのいい体に、ぴちぴちタンクトップを着ているマッチョの姿をした人物が腕を組んで笑顔を浮かべている。
ステラは受付カウンターに歩み寄り、紙に文字を書いて巨大マッチョおじに見せた。
『冒険者になりたい』
「ほっほっほ、冒険者になりたいか?よいぞ歓迎するのじゃ」
あっさりokされちゃったステラは内心、喜びを感じた。
「それじゃ、この同意書に名前を書くのじゃ」
巨大マッチョおじさんに同意書の紙を渡され、名前を書こうとしたその瞬間、突然、バンッ!!と大きな音が響き渡り、怒鳴り声が響いた。
「お前みたいな小娘が冒険者になったって、足手まといになるだけだ!!」
こういうのは、感情に任せちゃダメなんだよ。
それに巨大マッチョおじが対処してくれるし
巨大マッチョおじを見上げると、既にそこには居なかった。振り返ると、文句を言ってただろう男らしき人物を引きずっていた。
男はボクを睨みつけながら、ゆっくりとカウンターの奥に消えていった。
すると1分ほど経った後、何事もなかったかのように巨大マッチョおじがニコニコと笑みを浮かべて出てきた。
stella と名前を書いた紙を、巨大マッチョおじさんに渡そうとしたその時、鈴の音が鳴った。
おっ誰か来た
足音がコツコツと響くと同時に、ザワつきが聞こえてきた。
ボクは同意書を巨大マッチョおじに渡して、また後ろを振り向くと、扉の前には高身長の男性が立っていた。
髪は黒く、毛先が赤く染まっており、長くて黒いマントを身にまとっている。
男性1が低い声で言う。
「おいおい、あれってアレクじゃないか?」
男性2が驚いた様子で言う。
「ア、アレクって確か、宇宙に数人しかいないとされるSランクの冒険者じゃないか!?」
黒い男と目が合った瞬間、彼は目を見開き、口元が少し緩んでボクの方に近づいてきた。
ボク目当て?いや、カウンターか。
ステラはカウンターの端の方にテクテクと歩いて行った。
この前の依頼の報酬を受け取りにギルドに来たものの、まさか彼女がいるとは思わなかった。
ステラがカウンターの端へとテクテクと歩いていくのを目で追う。彼女の姿が視界に入ると、俺は無意識に目を細めた。
ステラは裏の組織のヴァンデラー所属。俺も裏の組織に入っているものの、こうして出会ったのは初めてだな。
一応、初対面だし、おっちゃんにステラのことを聞いて、少し話してみるか。
「おっちゃん、そこに居る子は?」
巨大マッチョおじは、ニコニコしながら言った。
「今日から冒険者になった新人ほやほやの子じゃよ」
「あ、そうじゃ。お前さんいつも1人だろう、この子の面倒を見るのはどうじゃ?」
「……え?」
「お前さんは強いからのう、このまだまだ若いお嬢ちゃんの面倒でも見たれ。お主なら、ちゃんと守れるはずじゃ」
ステラは多分、俺より強いと思うけど……まぁ、おっちゃんから見ても初対面だしなぁ
「お嬢ちゃん、初めてだし緊張するじゃろ。こやつは一応幻と言ってもならんSランクなんじゃ」
「ん?」
「それにのう、誰かとパーティーを組めない臆病者なのさ」
「ん??」
Sランクの人はだんだん笑顔を浮かべているが、彼の周りには黒いモヤモヤとしたオーラが溢れ出ている。
「お嬢ちゃん、誰かと冒険する楽しさをコヤツに教え込んで欲しいのじゃ」
勝手に話が進んでいくけど、冒険者になったからには仲間を作りたいよね
ボクは巨大マッチョおじの言葉に頷いた。
「……君も賛成なんだね」
アレクは目を見開いて暫く困惑して言った。
「そっか……よろしくな、俺はアレク」
ステラは紙に文字を書いて見せる。
『ステラ』
アレクはステラの名前を見て微笑み、巨大マッチョおじを見る。
「そうだった、おっちゃん。この前の依頼の報酬、受け取りに来たんだ」
「ほっほっほっ。そうか、そうか」
巨大マッチョおじはカウンターの奥のに入り、手から少しはみ出ている袋を持って来てアレクに渡した。
アレクは報酬を受け取ってステラを見る。
「よし、ここにいても仕方ないし、外に出て話そうぜ」
扉を引くと、小さな鈴の音が鳴った。外に出て入口の邪魔にならない場所に来るとアレクは足を止めてステラに話しかける。
「ステラ、君って裏の組織に入ってるだろ?実は俺もなんだ。」
静かで新鮮な空気が肌に感じる。
「裏の組織では敵同士だが、俺たちは仲間だ。組織で困ったことがあれば、遠慮なく俺に相談していいからな」
ステラは頷いて、暫くアレクの話を聞きながら、彼と一緒にエスパシオの街を探索したのだった。