その55
視界の風景が今までと違う
「なあ、天神。そう思わないか?」
「そう思わないって何がですか?」
「何がじゃねぇ!視界の風景が今までと違うと心の中で言ったじゃねぇか!」
「佐藤さん、無茶苦茶過ぎます。ちなみに簡単な説明をすると私達は今まで北神界にいたのです。この先は中央神界の区域になりますよ」
俺たちが中央神界に足を踏み入れた瞬間に
上空から巨大な光がとんでもないスピードで飛んでくる
「お前ら!何か来るぞ!」
巨大な光が俺たちの眼前に轟音を立てて着陸した。
砂埃が舞う
砂埃が晴れてくると何者かがいる事が分かった。
「ずっと待ってたんだよ。佐藤直彦。俺の期待以上の仕事をしてくれた。感謝しかないよ。ハハハ」
信じられない魔力を感じるがこいつは神なのか?
俺と何処か似ている気がする
「佐藤さん。こいつ、現世の人間ですよ。嫌な予感がします。」
男はニヤニヤしながら話し始めた。
「申し遅れたな。俺の名は正樹。一応、人間だ。佐藤と似たようなもんだ。」
正樹は腕の袖をまくりだした。
「これを見ろ。神の腕輪だ。俺が何をしてるか分かるだろ?」
「わからねぇ!何をしてるんだ?」
「直彦、アホかお前!神の腕輪だよ。神狩りしてるんだ、こいつ」
「ナルカミさんにしては珍しく正論を述べましたね」
正樹は腕の袖を元に直す
「そう言う事だ。俺が集めた神は1355体だ!」
「なんだと?」
「良いもの見せてやる。俺のとっておきなんだ。天照大御神、出て来やがれ!」
大気が大幅に振動する。激震と共に、1000メートルはあろうかという神が召喚された。
「こ、こんな神いるのかよ……」
正樹のニヤつきは終わらない。元からそういう顔なのか。
「面白くなるのはこれからだ。天照大御神、俺と合体しろ!」
正樹と天照大御神が合体すると再び神界が激しく振動する。
巨大な天照大御神の姿は消えたが正樹が白金色に輝きを纏っている。
「佐藤直彦。俺は北神界に入れない呪いをかけられていたんだ。だからお前が北神界の神を全員集めるのを待つしかなかった。俺は現世の人間でありながら神界の王になるんだ。神界の王になれば魔界も人間界も全て手に入る。ハハハ。お前の神も全部もらうぞ!」
俺の魔力探知は今、使い物にならない。
正樹の魔力があまりに巨大過ぎて麻痺している
天から巨大な光の柱が叩き落ちて来た
佐藤直彦が直撃する
「佐藤さん!」
天神と九頭龍はうろたえる
光の柱はあまりに強烈な魔力が注がれていて
どうすることもできない
「天神なんとかしろ!直彦がやべぇじゃねぇか!」
「私の雷程度ではあの光の柱に穴を空けることも出来ませんよ!」
「じゃあどうするだよ!」
光の巨大な柱が消えていく
「悪かったな、佐藤直彦。挨拶程度だったんだ。ここまでお前が弱いとは思わなくてな!ハハハ。死んで俺に神の腕輪を強奪されるのと命乞いをして素直に神の腕輪を俺に渡すのはどっちがいい?選ばせてやる。」
「ナ……ナルカミちょっとこっちに来い……」
佐藤とナルカミは何やら小声で話している
「さあ、どうした?佐藤直彦。死にたいなら別に構わないぞ。俺は殺戮の趣味があるからな。ハハハ」
正樹は輝きながらニヤニヤしている
すると佐藤直彦とナルカミが一体になる
神界に地響きが起こる
先ほどの正樹のような衝撃が中央神界に巻き起こる
「なんだ?何をした?佐藤直彦」
佐藤直彦が蒼色のオーラを身体に纏っている。
「俺とナルカミは分身の関係。ただ合体しただけだ。もう元には戻れないけどな。お前、剣は使えるのか?
使えないなら俺にはついて来れねぇぞ……」
佐藤の天叢雲剣が尋常じゃない魔力を集めている
「黒魔術の真髄と最強剣天叢雲剣の魔法剣だ。じゃあな……正樹だっけ?」
目に見えない速度で剣が薙ぎ払われ神界が両断される
激震が収まった時には正樹の片腕は地に落ちていて
その腕に神の腕輪がついている。
俺は気力が抜けて仰向けに倒れてしまった。
「佐藤さん!大丈夫ですか!?」




