その48
周りで見ている見物人は唖然となっていた。
「神様が負けてしまった……この極悪人強いぞ」
「極悪人じゃねぇって言ってるだろうが。佐藤直彦様だ」
あたりの人がそぞろ引いていく
腫れ物に触る者とみなしたのか
はたまた危険を感じたのか。
「佐藤さん。観念しましょう。指名手配人になってしまったことには。」
「俺は別に指名手配人だとかそうじゃないとかで苛立ってるんじゃない。」
「じゃあ不満は無いんですね。」
「いや不満はある。」
「まあ不満があるのはしょうがないです。神狩りをしてるんですからこの先も色々ありますよ。」
俺たちは道なりに歩いていく
どこまでも先が見えない一本道。
風が吹けばどこか冷え冷えとする程に
寒気が舞い降りている
神界の天候はまちまちで一定していない
春のような気候かと思いきや
ある日は冬の気候にもなる
普通の人間であるのなら体調管理は難しいだろう。
幸い俺は超人であるために
気候に体調が左右されるような身体には仕上がっていない。
俺の分身のナルカミもそうだ。
「直彦。寒いな。耐えられねぇよ。」
訂正。そうでもないのか。
「九頭龍。ホカロン買ってこい!」
「え、なんでです?」
「ホカロンが必要な状況は1つしか考えられねぇだろうが!」
「いえ、俺が言ってるのは何故俺が買いに行くんでしょう?」
「なるほど。そうくるって訳か。九頭龍。お前、自分の立場分かってるんだろうな?」
分かった。これがいわゆるパワハラと言われてるものか
勉強になる。
パワハラの問題は10年前と今で比べるなら
格段にクローズアップされている。
ん?
大気が揺れている
何か来るぞ!
俺はふと上を見上げると何かが降ってくる
その時、俺たちの前方に高速で落下した。
砂煙が舞い上がる。
かなりのほこりで視界が悪い
やがて視界がクリアになる
人、いや神か?
「お前が佐藤直彦で間違いないか?」
「俺はナルカミだ。」
「佐藤直彦じゃないのか?」
「ナルカミ黙ってろ。話がややこしくなる。」
「どうやら佐藤直彦のようだな。」
「だったら何なんだよ。」
「これだけ神界で暴れて自分の立場をわかってないのか?おめでたい奴だな。」
「俺が神界で暴れてるんじゃねぇ。」
「じゃあ誰が暴れてるんだ?」
「俺が言いたいのはそういう事じゃねぇ。男としての感性が暴れさせてるんだ。」
「言ってる事がよく分からないな。悪いが佐藤直彦。連行して行くぞ。」
「どうやって?」
神は剣を取り出した。
「なるほど。やるって訳ね。」
その時、神が剣を一振りする
大気が振動し風が光速で切り裂かれる
マズイ
激しい一撃が佐藤直彦を襲う
「まさか。佐藤さん直撃ですか!」
俺はギリギリ天叢雲剣で受ける
手が痺れている
「今回は佐藤さんといえど危険なのでは」
神と佐藤直彦の剣裁きが激突する
あまりの振動で大地が揺れ動く
神界の地が蠢いている
剣を通る風がカマイタチと化し
異空間が出来上がる
その時異空間が割れた
片方が地に倒れている
「まさか佐藤さんが負けたのか」
視界がハッキリしてくると
倒れているのは神
勝負は決したようだ。
神の名前はドゥアムトエフ
佐藤直彦に吸収された。
ここまでの佐藤直彦の試合は無敗




