その45
俺達はバス停に辿り着いた
日が昇って間もない時である
神界にも太陽というものがあり
人間界にいた頃の太陽とあまり変化はない
しいて変化があるというのなら
光の強さがかなり強く際立っている
バス停にはすでに人が2人並んでいた
「これはこれは神々様と人間のご一行ですか。よく見ると現世の人間ですね。もう既に神様にお仕えしてるのでしょうか」
「うん?してねぇよ。」
「そうですか。神様と人間の組み合わせだからてっきり神様見習いかと思いましたよ。」
「俺がこいつらに仕える訳ないだろ」
「佐藤さん。それはあんまりです」
「あなた、神様に何という口を聞いてるのですか」
「そんなの関係ねぇよ。俺はこいつらよりも偉いからな。」
「そんな話聞いたこともありませんよ。世の中に神様よりも偉い方はいないのですから。あなた方ご一行のリーダーは神様ではないのですか?」
「違うな。」
「不思議な事ですが人間のあなたがリーダーなんですね。」
「俺はリーダーでもねぇ」
「俺がリーダーだ!」
「おや、よく見ると精霊さんもいますね。精霊さんがリーダーなのですか?」
「当たり前だろ。他にリーダーの器の奴はいねぇ」
「ナルカミ、調子に乗るなよ。俺を下に見るんじゃねぇよ」
「なるほど。精霊さんがリーダーですか。たしかに精霊には強力な能力を持ってる方がいますからね。納得出来ました。」
その時バスが到着した。
俺たちはバスに乗り込む
バスが出発し始めて九頭龍達は眠りにつく
俺は剣の手入れをしていた
この剣も大分役になっている。
もし天叢雲剣がなければ危うい戦闘もあった。
東京地下ダンジョンにも結構良い品が眠っていたな
そんな事を考えていると
ナルカミが誰かと話をしている事に薄っすら気づいた
まあどうせ大した事じゃないと鷹を括っていたが
そんな想いと裏腹にナルカミが乗客を殴り始めた
!?
「お前、もう一度今の言葉言ってみろよ!」
「なんだよ!チビの事をチビと言って何が悪いんだよ!」
「俺はチビじゃねえ!」
「どっからどう見てもチビじゃねぇか!」
「お前に良い事教えといてやる。頭の中に浮かんだ言葉を馬鹿正直に何でもかんでも口にすればいいというのは浅い考えだ。分かったか?分かったら歯をくいしばれ!」
ナルカミは再び殴り出す
「やめろ、ナルカミ。何してんだお前」
「そこの人間の言うとおりだ。これ以上、暴力を続けるなら私が一刀両断してやるぞ、精霊。」
「うるせえ!俺はただの暴力じゃねえ!こいつに社会というものを教えてやってるんだ!バスの乗客は引っ込んでろ!」
「む。こう見えても私は神の1人だ。神に免じてここは引き下がってもらおうか」
その言葉に俺は一気に引きつかれた
「なに?お前、神なのか?」
「そうだ。人間のあなたには珍しい存在だったかな」
「そうじゃない。お前が神なら俺はラッキーだ。」
「何か願い事でもしたいのかな」
「願い事?願い事というか、そうだな。お前の名前が知りたい」
「……何故私の名前を知りたい?」
「名前を知ればお前は俺の部下になる」
「現世の人間なのに神界の機密情報を手に入れてるな。わかった。お前は人間界に今から帰れ。そうすればこの場は見逃してやるから」
「見逃す?何か勘違いしてねぇか?」
「勘違いだと?」
「お前が俺を見逃しても俺はお前を服従させるぜ」
バスの中の空気は嫌な霊力で満ち溢れる
と同時に2人が一斉に動き出した
剣と剣のぶつかり合い
鈍い豪剣の音がバスに広がる
霊力がぶつかり合い衝撃が走る
「ほう。私の剣を止めるとは。ん?その剣の霊力が異常だ。どこで手に入れた?」
「教えるかよ」
剣と剣が弾き飛んで、すかさず天叢雲剣を横に一閃
バスが横に分断され上半分が後ろに転げ落ちる
バスの外形が一気に変わった
気づけば神は座席に倒れている
「神の私がまさか人間に……」
「俺の勝ちだな。名前教えろよ」
「……ベス」
神の腕輪が光りベスは収納された
天神と九頭龍はバスが変形してもまだ眠っている。




