その41
雨もだんだんと上がってきた
土砂降りの中を歩いていたので服が濡れている
雨のせいで神闘の事はすっかり忘れている
「だいぶ濡れたな」
「そうですね。火でもあれば温まるんですけどね」
「九頭龍は炎魔術使えないんだっけ?」
「使えませんよ」
「なんだ。何も出来ないんだな」
「それは言い過ぎです。俺も魔術師です」
「何魔術師なんだ?」
「水魔術ですよ。知ってるでしょう!」
「俺が何でも知ってると思うなよ」
「それはないでしょう。佐藤さん。俺の戦闘を何度か見てるでしょうに」
ナルカミは離れた所で途方に暮れていた
どうりで静かな訳だ。
風がにわかに吹き始める
風向きが少し変わったか?
俺は天叢雲剣の手入れをする
「佐藤さんはその剣に愛着でもあるんですか?」
「天叢雲剣の事を言ってるのか?」
「他に剣なんてないでしょう」
「そりゃあ愛着はあるよ。この剣での戦闘は無敗だからな」
「その剣を狙っていた神もいましたね」
「いたっけ?そんな神」
「別に忘れてもらっても問題ないです。大雑把な性格が佐藤そんの持ち味ですから」
雨が上がって視界が開けてるので
日差しが差し込む
ん?何か空間が歪む
頭が痛くなってきた
ハッキリしないが目の前の空間が歪んでるんだ
空間の裂け目から巨大な手が出てきて天叢雲剣を掴む
「なんだ、てめぇ!」
頭がハッキリしないだけあって混乱が否めない
「佐藤直彦。天叢雲剣をよこせ」
「天神!直彦が襲われてるぞ!助けに行け!」
「いえ、私も頭が痛くて……」
「油断したな。天叢雲剣を手に入れたぜ」
捻れた歪みから神の全貌が出てくる
「剣さえ手に入れば用はない。ん?まだ剣にしがみついてやがる」
「お前の剣じゃないんだ。頭が多少痛くても雑魚の神に力比べでは負けないんだよ」
俺の握力が凄まじく剣を手にした神の腕が固まった
俺は剣を掴んでいる神ごと剣を振り払った
凄まじい斬撃が起こり歪んだ空間を縦に切り刻む
再び剣は俺の元に戻る
「空間から現れるとは陰険な神だぜ」
「力比べで神の俺を勝るだと?」
俺は神の首を掴み持ち上げた
「くそっ……苦しい」
「お前の負けなんだ。名前を言え」
「……ハトホル」
神の腕輪が光りハトホルは収納された
「佐藤さん。大丈夫ですか?」
「ああ、だけどいきなり現れるのは勘弁して欲しいね」
「佐藤さんは神に狙われてるんですかね」
「なんかそうかもしれない」
俺たちは水辺の所まで歩いていき休憩した。




