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名前の強奪と支配  作者: 豊田直輝
36/55

その36

俺たちは町を後にした。

デコボコした岩地で歩きづらい

どこまで歩けば岩地から抜け出るのだろうか。

「直彦の決めた道は散々だな。普通の道の2倍疲れるぞ」

「文句言ってんじゃねぇ。何も意見を出さないのが悪いんじゃねぇか」

雲間から微かな太陽光が漏れてくるのが覚めての救い

これで雨道であるならば心は折れただろう。

歩く道は果てしなく神を集める目的も壮大なもの

吸う息、吐く息に魔力を行き渡らせる

風に煽られながらの歩む道

「天神。何かドリンク持ってないか?」

「佐藤さんは町で飲料買わなかったんですか?」

「買ってない。」

「何故買ってないんですか?」

「喉が渇いてなかったから。」

「その理論はおかしいでしょう。その時点で喉が渇いてなくても旅の途中で喉が渇くのは目に見えてるじゃないですか。」

「俺には先見の明がないんだよ。」

「とんだ頭の悪いリーダーだぜ」

「俺がいつリーダーになったんだよ?」

「直彦はリーダーじゃなかったのか?」

「そういえばリーダー決めてなかったな。よし今から俺がリーダーになろう」

「なんだよ。だったら俺をリーダーにしろよ」

「ナルカミが?4人パーティーで1番活躍してないじゃねぇか。」

「俺がリーダーをやるんだ!!」

「ムキになるなよ。分かった。ナルカミがリーダーでいいよ。」

そういう事で俺たちの4人組はナルカミがリーダーになった。

俺からみれば極めてポテンシャルの低いリーダーであると思うんだが。

足元の悪い土地が続く。

途中で足を踏み外す時もある。

困難にあたることで普段の平地がいかにありがたいか分かる

人間健康な時は何も感じないが

どこか不調の箇所が身体にあると常に意識される

何もない平凡な状態がいかに恵まれた状態であるかを悟る

雲の動きが心なしか速くなってる気がする

大気の動きに大分敏感になってきた。

神界の太陽は現世の太陽よりも大きい気がする

世界が違うのだから変化があって当然か。

俺は自分専用にもらったドリンクの残りが少なくなる。

ふと物思いに耽り周りを見てみると異変

皆がいない

「おい、リーダーナルカミどこ行った?」

返事がないし見当たらない

「おかしいな」

魔力霊力探知をしてみる

すると同時に地面から手が出てきて掴まれた

片足が地面の中にひきづられる

咄嗟の判断で俺は掴まれている足ごと無理矢理空中まで上げた

足を掴んでいた奴が空中に放り出される

「なんだ、てめぇ!!」

「思ったより怪力だな。よく見ると現世の人間じゃねぇか。人間にそこまでの筋力は無いはずだが」

「俺を地面の下にひきづり込もうとしたな」

「そんなに怒ることじゃねぇじゃねぇか。逆に俺が地上に放り出されたんだから。」

「ナルカミ達も地面の中か?」

「そうだな。呼吸もいつまでも続かないだろう」

黒魔術 暗澹崩壊

付近の地面をゴッソリ抉り地底にいた天神、九頭龍、ナルカミを全員表に出した。

「佐藤さん。ありがとうございます。危うい所でした。」

「お前、今のは太古の黒魔術じゃないのか?」

「まあな。俺は黒魔術師だからな。」

「嘘をつくな。黒魔術は遥か昔に滅びた魔術。それを神でもない現世の人間が体得してる訳がない。」

「別に俺も体得してる訳じゃねぇよ。紅魔の杖の特殊スキルだ。」

「紅魔の杖?」

「お前に詳細を教えるつもりはねぇ」

俺は黒魔術で神を空中に浮かべた

所謂、空中での金縛り

「か、身体が動かねぇ……」

「そりゃそうだ。空中金縛りだからな。お前みたいな卑怯な奴でも神なんだな。名前を言え」

「言う訳ねぇだろ!」

「それは残念だ」

金縛りの強度を2倍にする

さすがに神は耐えきれず降参した。

「……ネクベト」

神の腕輪が光りネクベトは収納された。

「地面にひきづられたから身体が汚れちまったよ」

「ナルカミは服着てないからな。」

「精霊用の服が売ってないのが悪い」

俺たちは早々に岩場を抜けていった。


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