その28
俺たちは風呂屋に入った。
「ん?ナルカミ。お前は風呂に入らねぇのか?」
「入る訳ないだろ。俺はいつも清潔だからな。」
「清潔だと?真っ先に沼地の底に落ちたのは誰だよ?」
「俺は落ちたくて落ちたんじゃないんだ。引きずり込まれたんだよ」
「じゃあ全身泥だらけじゃないか。」
「歩いている内に泥は落ちたから大丈夫だ。」
「風呂に入らねぇと飯代出さないぞ」
「ひ、卑怯だぞ!」
「飯を食いたいなら風呂入れ」
「佐藤さんの持ってる所持金も私のクレジットカードなんですけどね。」
「天神は黙ってろ!」
「分かった。風呂入るから飯代出せよ」
「契約成立だな。」
俺たちは全員で風呂に入る
風呂場に行くとそれなりに混んでいた
「九頭龍が入れるほどの巨大な風呂屋だな」
「そりゃあ、そうでしょう。ここは神界ですよ」
「そうだったな。つい日本の感覚でいてしまう」
俺たちは沼地の泥を洗い落とした
「やっぱり清潔になるとスッキリするな。」
「佐藤さん、あれ見てくださいよ」
「なんだ?」
「サウナがありますよ!」
「サウナか。折角だから入ってみようか」
俺たちはサウナに入ると客が1人入っていた
かなりの汗をかいている
「あんた、大丈夫か?かなり具合が悪そうだが……」
「具合が悪いんじゃねぇ。暑さを忍耐してるんだ」
「あまり無理すると身体に毒だぞ」
「それは科学的に証明されているのか?証明されているなら理論を提示しろ」
「なんか嫌な奴だな。」
「佐藤さん、あんなの無視しましょうよ」
「そうだな。話しかけて損した」
俺と天神が談笑を始めると、なんとなく変な雰囲気を感じる
耳を澄ませると詠唱が聞こえる
詠唱?ってことは……
闇魔術 終端萬幡闇
ものすごい勢いで俺はサウナから吹っ飛ばさせる
「いってぇぇ。あいつやる気か!?」
「俺の悪口を言ってタダで済むと思うなよ!」
風呂場で気が抜けて魔力探知をしなかったが
冷静に分析するとこいつ神だ。
「風呂屋だろうと気が抜けないな」
雷魔術 天地雷鋒
風呂屋を突き抜けて巨大な雷が神に叩き落ちる
あまりの勢いで神は沈む
「天神、風呂屋を壊すなよ」
「でも佐藤さん。こいつ神なので」
「そうだな。おい神、お前が悪いんだぞ」
「……お前らが最初に言いがかりをつけてきたんだろうが」
「俺は何をしても許させるんだ。その意味が分かるか?」
「意味だと?」
「俺は神界の王になるからな。お前の名前を教えろ」
「馬鹿か?お前。教える訳ないだろう」
闇魔術……
雷魔術 天地雷鋒
再び雷が神に叩き落ちる
「……分かった。教える。セト」
神の腕輪が光りセトは収納された
「風呂場だけど神の腕輪をつけておいて正解だったな。」
「その腕輪は外さない方がいいですね。盗まれたら大変なので」
俺たちは破壊された風呂屋を後にする




