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その8
その8
おそとは毎日にぎやかです。
朝は市がたち、人々が行きかいます。
橋を渡って、冒険者や商人の馬車が町の外に出ていきます。
それから職人街がさわがしくなり、
午後はお年寄りが河のほとりでゆっくりとくつろぎます。
夕方はまた冒険者たちがギルドに戻り
職人街は灯りの節約のために早めに店を閉じます。
ギルドのそばの食堂はおそくまで開いていて
楽しそうな笑い声が聞こえてきます。
おそとにいるのはたのしいです。
わたしは足元でぬくぬくとうずくまる猫といっしょに
食堂の灯りが消えるまで、みんなの騒ぎを聞いています。
みなそれぞれにお家に帰り
あたりはしん、としずまります。
わたしの屋根や、橋のそば、ギルドの外壁に取り付けられた
魔道ランプに灯がともるので、夜中でも町が真っ暗になることはありません。
『おやすみなさい。皆よい夢を』