その4
その4
おとうさんのおでしのひとりがきれいなおよめさんをつれて戻って、おとうさんのこうぼうを継ぎました。
「またよろしくな、嬢ちゃん」
おでしだったマリクはそう言って、おとうさんみたいにあたまをなでて、おかしをおそなえしてくれました。
「なんてかわいい聖女さまなの」
「親方のお嬢さんの姿なんだよ」
「聖女さまに見守られた家に住めるなんて、幸せだわ」
わたしのきにいりのこうさぎの寝台は、マリクの赤ちゃんたちが使うようになりました。
わたしのおそなえをぬすみ喰いしてたマリクが、しっかりおとうさんになって、「聖女様のおそなえを盗るんじゃない」とこどもたちを叱るようになりました。
マリクとおよめさん、三人のこどもたちと二匹の猫。
おうちはにぎやかになりました。
「おはよう聖女さま」「せいじょさま」「まー」
『きょうも一日げんきですごせますように』
わたしはみんなに答えます。
三人のおんなのこはわたしのまえでご本をひろげ。
わたしもいっしょにおべんきょうします。
おきにいりはきれいな絵がついた「ゆうしゃとせいじょのものがたり」
白いおようふくに青いまんとのきれいな聖女さまが、せいけんをもつゆうしゃさまと共に、しくふくのちからでくにのへいわをまもるのです。
わたしももっとしゅぎょーして、みんなをしくふくしていきましょう。
しっかりとりょうてを拡げて。もっともっと力をつけて。
おうちのみんなを、まもれるように。
わたしはこのおうちの聖女なのですから。