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こんなはずじゃなかったのに。~ボッチだった高校生活をやり直します~  作者: 松竹梅竹松
第4章 高1冬・聖夜祭

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第4章 第4話 宍戸式士気史

2018年 12月18日(火) 16:12




「じゃあちょっと待っててくれ」



 俺が所属するイベント同好会の部室前にて十六夜と七海にそう告げる。まずは俺一人で会わなければならない。俺のせいで部員の3分の2を失ったこの人に。



「こんにちは、宍戸さん」



 一度、いや二度深呼吸をし、部室へと入る。



「おつかれさま、主水」



 長机と椅子、その他生活用品しかない部室では、部長の宍戸桜花さんが一人お茶を飲んでいた。



 だが用意はできている。部員三人でお茶をする用意が。



「宍戸さん……それ……」

「気にしないで。いつもやっていることだから」



 宍戸さんの前、さらにその横には色だけ違うコップが置かれていた。その中からはまだお茶を淹れて間もないことを示す湯気が宙に溶けている。



「いつもって……!」

「不思議なものね。先輩から受け継いだ一人っきりの同好会が、気づけば二人になり、いつしか三人になって、それが当たり前だと思っていた。三人で……一緒に入れたことが……どれだけ特別かも、気づかずに……!」



 宍戸さんの鋭くも優しい瞳から一筋の涙が零れる。それに気づいた宍戸さんは慌てて顔を腕と机で隠した。



「宍戸さん、俺……!」



 俺にはイベント同好会の三人での記憶はほとんどない。定位置も、どれが俺のコップなのかもわからない。



 それでも謝らなければならない。たとえ俺が未来の大矢主水だとしても、今は俺だけが大矢主水なのだから。



「本当に、すみません……」

「てってれー」



 頭を下げる俺に比例して、宍戸さんの顔が上がった。



「ドッキリ大成功ー」



 今言ったことと同じことが書かれた札を持ち上げながら。



「え……? え、え……?」

「馬鹿ね。水菜ならまだしも入院している主水のために毎日お茶を用意しておくわけないでしょう」


「いやま、そうなんですけど……」

「私はイベント同好会部長よ。主水の退院祝いという日を盛り上げないわけにはいかないわ」



 盛り上げっていうか、え、ちょっと待って……。



「どこまで……!?」



 お茶の件は当然としても、月長のことはドッキリに含まれるのか……? それに涙も……。



「お茶だけよ、ドッキリは。まったく。仕掛け人が一人じゃ全然盛り上がらないじゃない」



 お茶だけって……。



「じゃあ、泣いてくれたのは……」



 混乱する俺へとゆっくり顔を向ける宍戸さん。綺麗な細い指で頬を拭う彼女の瞳は、確かに赤くなっていて。



「さぁ、どうかしらね」



 やっぱりこの人は嫌いになれないと強く思った。




2018年 12月18日(火) 16:16




「聖夜祭……そんな話もあったわね……」

「はぁっ!?」



 宍戸さんへの謝罪を済ませ、十六夜と七海に入ってもらって聖夜祭の話をすると、なぜか宍戸さんは窓の外を眺めてしんみりとお茶をすすった。



「聖夜祭やんないんすか!?」

「正直厳しいわね……。今の今まで忘れていたから……」



 そんな宍戸さんに怒りを抑えられないのは七海。聖夜祭でのグループ復活に懸けていたので当然の反応だろう。



「なんで忘れてたんすか!」

「だって提案したの暦祭前だもの。学校側への申請は済ませてあるのだけれど、ほら……ね?」



 言いづらそうに宍戸さんは口ごもる。つまり俺が自殺未遂をしたせいでそれどころじゃなかった、ということだろう。また、俺のせいだ。



「忘れてただけで、やれはするんすよね」

「まぁできるけれど……参加者集め、内容、装飾……全てが決まっていないわ。何しろ生徒会全面未支援。イベント同好会としての活動だから、正直残り1週間だとクオリティが……」



 言うなれば、1週間で暦祭をやれということだ。つまり、



「がんばれば可能ですよ」



 経験はあるんだ。できない理由は一つもない。俺がそう言うと、なぜか他の三人はぽかんと口を開けた。



「主水……あんたがやる気を出すなんて……!」

「陰キャの風上にも置けない」

「散々だな」



 そう驚くことでもないだろうに。



「俺はまだイベント同好会の一員のつもりです。イベントを盛り上げるのは当然のことでしょ」



 むしろ、できない理由を探している宍戸さんがおかしいんだ。そして俺にそんなことを言われたら、一番のお祭り好きが盛り上がらないわけがない。



「ふふ……。後輩に諭されるなんてね。私もそろそろ引退かしら」

「まだ1年以上ありますよ」

「そうね。残り1年、最強に楽しまないと後悔が残るわ」



 そうだ。後悔を残したら、死ぬ時に死にたくなる。だから生きている間はがんばらなければならないのだ。嫌でもな。



「参加者集めは七海さんに任せるわ。そんな派手な見た目してるんだから友だちは多いでしょう?」

「りょっす」


「内容は私が考えるとして、装飾は十六夜さんね。暦祭以上の働きを期待しているわ」

「期待はしないで……もらえると……」


「クリスマスといえばケーキよね。参加費にもよるけれど、予算も限られるから手作りがいいわ。主水、できる?」

「一応経験はあるんで」



 これでやるべきことは明確に決まった。一番大事なこと以外は。



「主水。二度目で悪いけれど、頼まれてくれるわよね」

「当然。責任は果たしますよ」



 言われなくてもわかる。同好会は三人いなければ存続できないんだ。だから意地でも連れ戻す。



「水菜を助けてあげて」

「助けるのは無理です。俺にできることは、あいつの前の問題をぶっ壊すことだけなんで」

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[気になる点] 髪の毛切りに行かなきゃ。でした。
[気になる点] 髪の毛に、行かなきゃ。
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