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こんなはずじゃなかったのに。~ボッチだった高校生活をやり直します~  作者: 松竹梅竹松
第3章 高1秋・文化祭

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第3章 第10話 下準備

2018年 10月23日(火) 09:03




「来たわね。我が後輩たちよ」



 簡単な朝の点呼と、今日の仕事の確認を終えた俺と月長は、暦学園の敷地から徒歩で3分ほど離れた場所にある合宿所へと向かった。建物は前情報通りアパートのような造りになっており、2階建てで5部屋ずつ収められている。



 そんな合宿所の1階の角部屋。『生徒会長専用っ!』と張り紙が貼ってある部屋に入る俺たち。中は簡単なキッチン、トイレ、台所が備え付けられていて、10人は軽く寝れるほどのスペースがある部屋となっていた。人一人が余裕で生活できる空間だ。



 今その部屋は大量の段ボールや紙に溢れており、その中央ではイベント同好会部長の宍戸桜花さんが。何やら資料の確認をしていた。



「なにしてるんですか?」

「ふふ。生徒会長は忙しいのよ。……いえ本当に忙しすぎてちょっと困っているわ」



 宍戸さんはこの秋生徒会長に就任した、暦学園の顔的な生徒だ。時系列が曖昧で既に生徒会長になっていたかわからなかったが、これなら生徒会長が俺たちを呼び出したことも納得だ。



「それより頭大丈夫?」

「はい。問題ないです」



 お約束のやり取りをし、本題。



「どうして俺たちを呼んだんですか?」

「決まっているでしょう。暦祭でのイベント同好会の発表についてよ」



 やっぱりか。体育祭での台車爆走みたいな色々アウトなやつは勘弁してほしいが、そもそも。



「三人で回せるの~?」

「いい質問ね、水菜。当初の予定だった部室でのバーベキューは結論から言うと無理よ。私が忙しすぎるし、そもそも建物内で行うのは駄目みたい。副会長に怒られたわ」



 当たり前だろ。ちゃんと止めろよ、俺。



「じゃあ外でやるの~?」

「そうしたいところだけれど、残念ながらもう場所は残ってないみたい。あと文化祭での食事提供は色々制約が多くてわけわかめだったわ」



 確か保健所に届け出を出す必要があるのだったか。それに加え、生ものとかごはん類も禁止されているはずだ。



「ということで私たちはイベント同好会の理念に則り、暦祭スタッフとしてイベントを盛り上げることにしたわ。具体的に言うと見回り係ね。時間が空いている時にスタッフパーカーを羽織って適当に学内をぶらついてもらうわ」



 つまり色々考えすぎてやることが決まらず、時間切れになって仕方なく雑用をするというわけか。俺好みではあるが……。



「本当にそれだけでいいんですか?」



 イベント同好会らしくはない。体育祭であんなことを企てる人たちがこれで納得するだろうか。そう違和感を覚えていると、宍戸さんが「くっくっく」とわざとらしい悪い笑い方をした。



「いいわけないでしょう? やるわよ、飛び入り参加っ!」



 うわー……やっぱりめんどくさいことになった。ただでさえ暦祭中は色々忙しいというのに。



「日曜日……つまり最終日ね。15時頃、野外ステージでの発表に20分のインターバルがあるのよ。そこで刻むのよ! 私たちイベント同好会の爪痕をっ!」



 野外ステージ……。校庭に造られるメインステージか。体育館ステージに並ぶ暦祭で最も目立つステージだが、確か……。



「日曜日大雨ですよ」

「えぇっ!?」



 ああそうだ間違いない。あの日は雨が降っていた。父さんたちが教室に来た時、やけに外の雨音がうるさかったのを覚えている。……ん? もしかして俺、まずいこと言ったか……?



「予報では曇りのはず……うわ、変わってる! 台風来てるじゃないっ!」



 宍戸さんがスマホを確認して大騒ぎする。よかった……。これなら未来のことがわかった言い訳ができる。



「まいったわね……。大爆発を起こすつもりだったのに……」

「退学になりたいんですか?」



 本当によかった……。これで暦祭中は割と自由な時間が……いや。



「じゃあ見回りだけ~?」

「ぐっ……! 駄目よ……そんなの駄目……! イベント同好会部長としてなにか騒ぎを起こさないと気が済まないわ……!」

「それなら俺にいい考えがあります」



 リルに読み取られないよう思考する。イベント同好会を上手く使えば俺のほしいものがリルに見つからずに手に入るかもしれない。だが工夫が必要だな……。



「今はまだ発想段階なので詳しくは話せないですけど……確実に目立てます。どの発表よりも一番。暦祭の主役は俺たちです」

「目立つ……!」

「主役……!」



 俺の適当に選んだ言葉に、宍戸さんと月長が目を輝かせる。ちょろくて助かった。



「あり寄りのありよっ! 主水、早く決めて教えてねっ!」

「はい、がんばります」



 これで一番大事な布石は打てた。後は実験をして実用的か見極めないとな……。



「じゃあ準備期間の活動は実行委員会のお手伝いだけ~?」

「そうね。人手が足りないみたいだし、イベント同好会的には助けたいところね」



 へぇ……。ふざけた同好会だと思ってたが、そういう真面目なこともやるのか。イベントを盛り上げる。それが裏方だとしても、か。俺がいまだに同好会を辞めていない理由がわかったかもしれない。



「水菜は私と一緒に装飾物の制作を手伝って」

「りょーかい~」



 クラスの方も装飾物作りで自由参加だし、裏方作業ならいくらでも……。



「主水は外で力仕事よ」

「は?」

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