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こんなはずじゃなかったのに。~ボッチだった高校生活をやり直します~  作者: 松竹梅竹松
第2章 高1夏・体育祭

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第2章 第11話 裸の心

「やられましたね。まさかこんなに手が早かったとは」

(リルは気づいてただろ。それより警官が彼氏なのは予想の範疇として、宍戸さんは何か関係あるのか?)


「いいえ。もう詰みなので言いますが、あの方は後輩想いで色々調べていたただのいい先輩です」

(そっか……。じゃあつまり、こいつを何とかすれば全て解決するってわけだな)



 制服を着た仕事中の警察官が、こんなに早く駆けつけるなんてありえない。おそらく月長と共謀して、いや月長に命令して俺を陥れようとしたんだ。



 このクソ野郎が全ての元凶――!



「月長、下がってろ。こいつは俺がぶっ飛ばす」

「その女性から離れるのは君の方だ。すぐに逮捕してあげよう」



 今の状況を整理しよう。俺は全裸の月長と一緒に試着室におり、目の前には警察官が一人。客や店員はこの事態に怯え、見えない場所にまで逃げている。



 つまり何をやっても人目には触れないというわけだ。俺も、警察官も。



 ならば先手必勝。喧嘩なんてしたことはないが、こいつを制圧できれば月長も解放されるはず。やるしかない。



「うおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉっ!?」



 屈強な警官に飛びかかった俺は。気づけば空中で一回転し、床に叩きつけられていた。



「がっ、は……!?」

「17時12分。強制性交等罪及び公務執行妨害で逮捕する!」



 そして組み伏せられた俺の手首に手錠が嵌められた。時間にして数秒とかからない一瞬の出来事に思考が追いつかない。それでも鉄の冷たい感触が不快なことだけは理解できた。



「……男でもいいんだな。お前のSMプレイ」

「いいや不本意さ。気持ち悪くて仕方ない。この記憶は上書きしないとね。水菜を使って」



 後ろ手で繋がれ抵抗できない俺を見下ろし、煽るように語る警官。周りに人がいないのをいいことにずいぶん言ってくれる。



「わかってんのか……? あんたがやってることは犯罪だぞ……! 未成年をたぶらかしてマッチポンプで手柄を上げようなんて……!」

「問題ないさ。私と水菜は愛し合っているからね。それにこれは水菜の方から言い出したことさ。二人三脚で無理矢理組もうとしてきた男をハメようって。元はと言えば君が悪いんだ。私の愛する女に手を出そうとした君がな。だから君は捕まる。天罰というやつだ」



 ペラペラとよくしゃべるな……。間男を地獄に堕とせてテンションが上がってんのか……?



 まぁそれならこっちも都合がいい。気が済むまで話してもらおうか。



「なるほど、天罰か。でもそれにしては重すぎだろ。俺はただ月長とデートしてただけだぞ」

「よく言うよ。人の恋人に手を出そうとしたゴミが。気づいていないのかい? 君、ストーカーってやつだよ。人の家まで押しかけて。水菜は優しいからね……嫌でも嫌って言えなかったんだ」


「おかしいな。俺はお前の住むアパートの前にいただけだ。それがストーカーになるのか? 中学生の月長にしつこくアタックしてたお前の方がよっぽどストーカーだろ」

「あれは神様が用意した障壁さ。それを乗り越えたからこそ、私と水菜は今愛し合っている」

「この世に神様なんていねぇよ……」



 もう充分か。あとは個人的に知っておきたいことだけ聞いて終わりにしよう。



「月長のどこがいいんだ? そこまでかわいくねぇだろ、あのビッチ」



 そう吐き捨てると。まるで時が止まったかのように静寂が訪れた。聞こえるのは気の抜けた店のBGMだけ。だがそれは嵐の前の静けさだった。



「ふ、ざけるなぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」



 突然火山が噴火したかのように暴れ出す警官。俺の首根っこを掴んで何度か床に叩きつけると、そのまま試着室へと引っ張っていく。そして服で肌を隠している月長の腕を払うと、俺の顔を月長の胸へと押しつけた。



「よく見ろっ! この白い肌っ! 完璧なスタイルっ! 縛られるために生まれてきたかの如く! 美しいだろうがぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」



「や……め……」



「それに加え、いつまでも変わらないこのウブな反応っ! これほど理想的な女性はいないっ! ああ、縄の跡もまた美しい……!」



 近すぎて見えない……が、感触でわかる。この警官の言っていることは正しいのだろう。正しいだけで本質ではないが。



「水菜、恐いだろうがちょっと待っていてほしい。応援を呼ばないといけないんだ」



 俺をその場に投げ捨て、警官が離れていく。



 残ったのは試着室に乗り出すように倒れる俺と、服を放られてしまい腕で肌を隠す月長だけ。もうお互い何もできない。だからこれからは、



「辛いでしょ? 縛られるの」

「言っただろ。俺の人生はずっと辛い」



 本音での会話だ。

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