表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
偽りの歌姫は月光の戦士となる  作者: 明日最わたる
第一章
4/16

託された歌は『月の路』





‥‥歌が聞こえる。


瞳の中が眩しい光で支配されたツキジは聞こえてきた歌の方角へと顔を傾ける。


その歌は頭の中で心地よく響き渡り、ツキジはある記憶が蘇る。


‥‥静かな病棟の片隅の小さな部屋に、か細くも芯の通った美しい、天使のような歌声が響き渡る。


その歌声にツキジは聞き惚れ、この地球という場所からこの空間だけ切り離されたような不思議な感覚に陥っていた。


「この歌はね、"月の路"っていう名前にするの」


歌が終わりを迎えると、いたずらっ子の様にクスクスと笑い、まるで絵画から飛び出したかの様に美しい少女、日向(ひなた)はツキジの手をギュッと握りしめた。


「つきの、みち?」


「そう」


日向は頷くとツキジの手を自分の頬に当てて、「月の路・・・・ツキジ。あなたの曲」と愛おしそうに呟く。


「私が作った、あなたの曲」


忘れないで、と言って日向はツキジの瞳を優しく見つめた。


「この歌に私の命の力を全て吹き込んだ。・・・・私が居なくなっても、この歌をあなたが歌うことで私はずっと生き続けることが出来る」


そのまま消えてしまうのではないかと思うくらいに弱々しく微笑む日向を見て、ツキジは思わず握られている日向の手を強く握り返した。


「歌にはね、歌う人の命の力を分ける力があるはずなの。・・・その人が生きようとする意思を持ち続ける限り、きっと無限に」


「歌う人の、命の力・・・・」


「歌い続けてツキジ。どうか、この歌を・・・・・届けて」


ツキジはその日、"月の路"という日向の命の力を吹き込んだ大切な歌を授かった。この歌を人々に届ける事が自分の役目だと信じ、歌手になる事を決意した日だった。








ーーーーーーーーその数日後に日向は病院の屋上から飛び降り、自殺した。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ