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無双のハルキ

こっそりと、後をつける事数分。マップの赤い点が付いている花の出現位置で戦闘が

行われていた。

まだレージやミキ達と同じく駆け出しのプレーヤーが必死で戦ってメダルをゲットし

たところだった。

そこに、彼らはいきなり現れると無惨にも襲いかかった。

正面から戦うと厄介な相手だった。

タンクがいる為、攻撃がそっちに強制的に向いてしまってその間に短剣を持った仲間に

後ろを取られ、呆気なく4人パーティだったのに壊滅させられてしまった。


 レージ 「ひでーな。絶対許せねーなよ!」

 ミキ  「でも、これもゲームの仕様だから仕方ないってなるんだろうけど…なら

      私達もいいよね?」


レージの方に向くとレージも納得してくれた。

ミキは杖を構えるとこっそりと呪文を唱える。


 ミキ  「退場してもらうよっ!眠りの霧ースリーピング•ミストー」


このイベントの為にこの呪文がギリギリ使えるレベルまで上げたのだ。

魔法は火力寄りにスキルを取る人が多い中、ミキは補助的なものや防御を優先して

取った。

なぜなら、攻撃はレージに任せて、そのサポートに専念する事にしたからだった。

大技もコマンドを正確に入れれば出るのだが、間違えた時、技が出ずに瀕死になる

可能性を考慮して、あまり使う気にはなれなかった。

MPも限りがあるので制限時間までたっぷりある中で、消耗の少ないものを選んだ。

さっきのPK男は油断しきっていたせいか、メダルを奪って喜びながら夢の中へと

落ちて行った。

地面に倒れたのを確認すると、こっそりと草陰からでた。


 レージ 「なんか…こういうのって悪い気がするけど…仕方ないよな!」


そう言いながらレージは倒れたの男達に止めをさしていった。


 ミキ  「これで、メダル4枚!途中棄権もできるけどそれだとメダルを持って

      帰れるんだっけ?」

 レージ 「あぁ、だけど…せっかくのイベントだし、楽しもうぜ!」

 ミキ  「そう…だね。」

 レージ 「MP尽きそうになったら言ってくれる?そこで棄権ってのもありだしさ!」

 ミキ  「確かに…お荷物になっちゃうし」

 レージ 「ミキちゃんをお荷物なんて思わないよ。さっきも音消したり、眠らせた

      りってすごいから!」

 ミキ  「ありがとう。」


ミキはにっこりと微笑むとマップを取り出した。

近くに敵はドロップしていないようだった。

敵のいるところ、PKありとはよく言ったもんである。


今回の花摘みイベントはミキ達のいる森エリア以外にも、砂漠、雪山、高原、岩場と

各エリアが設けられており、そこにプレーヤーが離れた位置に転送されていた。

クラン毎に固まっているところもあるので、ソロプレーヤーは隠れながら討伐して

いくしかなかった。

ミキ達意外にもソロで攻略を狙うプレーヤーがいた。

アバター名をハルキという。

彼は課金しまくってレベルもいち早くあげて、全プレーヤーの中でのダントツの強さ

を誇っていた。伝説級の槍を携えて荒野を無双していた。

鎧も他を寄せ付けない特別性で、ガチャでもなかなか出ない物だった。

どこのクランにも属する事なく、勧誘ももちろんされたが、未だにどこにも入らな

かった。


 ハルキ 「はぁ〜、誰もいないなぁ〜。いやっ…隠れているのか…まぁ〜どうでも

      いいけど」


一人呟くと、誰もいない岩場に攻撃を繰り出す。

すると、岩もろともエフェクトが弾けて、そこに人がいた事がわかる。

分かったとて、もう消滅したあとなので誰がいたかすら分からない。


 ハルキ 「上げすぎたかな?いやっ…ここは徹底的に力を見せつけとかないとな!」


独り言を漏らすと、マップを開き一番近くの敵の位置を確認するとそこへと駆け出

していた。


雪山ではカズのクランが独占するように誰も近づかせなかった。

入り口で、PKしその先へとは行かせなかったのだ。

カズを含むこのパーティーは女性ばかりの歪な組み合わせだった。

カズと言う剣士を中心に構成されており、鎖鎌使いのイチカ、後衛の

弓職のカオル、両手剣のレイカ、魔法職兼ヒーラーのセナがいる。

一見、構成はいいように見えるがほとんどが単独で動く為、連携が取れていないのだ。

レイカはただPKがしたいだけで、その他はカズが課金したアイテムをパーティーに

いればタダで貰えるとあって、一緒にいるだけのものだった。

そのかわり、リアルで会おうと何度も執拗に言われるのがなんとも面倒な事だった。

カズのリアルは学校教師と言う事もあり、話し方も上から目線でのもの言いが多かった。

そして、今はミキと言う名のアバターを使ってる女性を欲しがっていると言うことはクラン

メンバーなら誰でも知っていた。


 カオル 「カズさーん、そろそろ花がドロップする時間です。」

 カズ  「おぉ、そんな時間か!いっちょ派手に倒すから、見とけよ!」

 カオル 「はーい。」

 イチカ 「そんなに張り切らなくってもうちらのレベルなら余裕っしょ?」

 カオル 「しーーー。好きにやらせておけばいいのよ。うちらは何もしなくてもメダル

      ゲットできるんだし。いいじゃない?」

 イチカ 「それも、そうね。」

 セナ  「一応警戒だけはしておく」

 カオル 「うん、いつもありがとう」


カズの雄叫びが響きメダルがまた一枚増えたのだった。


 レイカ 「暇だわ…なんで誰も来ないのかしら?」


入り口で一人ぼやくレイカをよそに時間は過ぎていくのだった。



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