イベント
俊は家に帰るとすぐに今日の分の宿題を終わらせゲームを立ち上げる。
俊 「ビビらせてるつもりなんかねーのに…」
一人ゴチってみるが気分を切り替えてミキのアカウントを開く。
ギルド内に転送される。
周りをきょろきょろと眺めるがレージはまだ来ていないようだった。
ギルド掲示板には明日から始まる個人戦イベントの内容が告知されて
いた。
『明日開始 花摘みイベント
各フィールドに出没する 花 を確保すると
ストレージに花のメダルがゲットできるよ。
ただし、メダルを持ってるプレーヤーを倒す
と強奪できるよ。
終了までに多くのメダルを獲得した上位3名に
素敵なプレゼントが贈られるよ!
ふるって参加してね♪参加賞もあるよ。』
張り出された紙は虹色に光り、ログインしたプーレーヤーの目を引いた。
周りの目線が自分に向けられているようでいたたまれなくなり、外へと
飛び出した。
初めの森なら一人でも狩りできるのでレージにメッセージを飛ばすと、
森へと向かった。
ミキ「はぁ〜いまだにレージ君としか話せないけど…これから普通に
話せるようにならなくちゃ!うん。」
スライムなどの弱い魔物を狩りながら小さな魔石を集めていた。
ここにはほとんどプレーヤーもいなくてまだ駆け出しの自分には合って
いた。
泉が見えてくると、そこには薬草が多く生えていた。
夢中で取ってイベントリーに入れるとポカポカした陽気のせいか日向ぼ
っこして眠っているプレーヤーを見つけた。
こっそり通り過ぎようとすると、起きたのか声をかけられた。
レイカ「ね〜君。初心者?」
ミキ 「はっ…はい!あの、起こしちゃってごめんなさい。」
レイカ「いいわよ。どうせ暇なんだし。ちょっと疲れちゃってね。そう
だ、話し相手になってくれない?」
ミキ 「え!わ…私でよければ…。」
レイカ「緊張しなくていいわよ。私はレイカ。銀の翼のレイカよ。」
ミキ 「私は…ミキです。まだどこにも所属してなくて…」
レイカ「そう、ミキちゃんか〜。カズが欲しがる訳だわ。」
ミキ 「えっ…!」
レイカ「なんでもないわ。」
しばらくたわいもない話をして、ここの薬草の生態や、高価な薬草の生えて
いる場所などを教えてもらった。
すると、レージからメッセージが返ってきた。
ミキ 「すいません。メッセージが…」
レイカ「気にしないでいいわよ。返信してあげなさい〜。」
ミキ 「はい。」
今ログインしたと書かれていた。そしてこっちへ向かうとも書かれていた。
レイカ「男かい?」
ミキ 「はい!…いやっ…友達です。」
レイカ「あっははは。否定しなくてもいいよ。ゲーム内での恋愛は自由さ。
ただし、リアルに持ち来ないようにね。きっと幻滅するから。さぁ
私はもう行くわ。彼を待たせてるんだろ?行ってやりな。」
ミキ 「色々教えてくれてありがとうございます。またどこかで会えますか?」
レイカ「そうさね〜、ゲームを続けている限りいつでも会えるさね」
そう言って立ち去ってしまった。
ミキ 「銀の翼かぁ〜。ねぇちゃんとは別なんだろうな〜。」
始まりの森の入り口へ向かうと、レージが走ってくるのが見えた。
レージ「ごめん、今日はちょっと遅れちゃって…大丈夫だった?」
ミキ 「うん。ここのレベルなら一人でも大丈夫。昨日のでレベルも
上がったし。」
レージ「だよな〜。ユウヤさん、すげーよな。早く強くなりてーな!
今回のイベントみた?花摘みだって。俺らも出ようぜ!」
ミキ 「でも、プレーヤーキルもありなんでしょ?それって…」
レージ「3回死んだらリタイアってやつだろ?なんでも参加しただけで
なんか貰えるって書いてあったし。生き残ればなんかあるかも
だしな!一人じゃ無理だけど二人ならなんとかなるかもじゃん。」
ミキ 「きっと出る人ってみんな強いよ?」
レージ「なんでも試しって言うじゃん!」
ミキはレージの前向きな姿勢に少し微笑ましく思えた。
ミキ 「うん。じゃ、出よっか!一緒に。」
レージ「おう!それとさ、これからリアルの友達が来るんだけど一緒に狩りし
ない?」
レージの申し出に、言葉を詰まらせると少し考えて承諾した。
レージがこんなに話しやすいのだから友達なら、大丈夫だろうと。