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ボス戦

大きな鬼が中央に出てくると、周りを炎の壁ができる。

倒すか倒されるかしないと出られない仕様だった。


 ミキ 「水の弾丸ーウォーテス・ブレッド!」


勢いよくボスに水の塊が飛んでいく。その間にレージが足元に肉薄し

剣を振るう。

目眩し程度にしかならないが、注意を引ければそれでよかった。

足元を斬りつけると、そのまま後ろに回り込む。


 ミキ 「水の柱!ウェイブ・ウォール!」


レージの斬りつけた足元を大きな水の柱が上がり、ボスの体制を崩す。

後ろに回り込んだレージが肉薄し何度も斬りつける。

どんどんHPを削っていく。ボスも黙っているわけではなく、後ろを

振り向くと両手を振り下ろす。

レージが後ろに退避すると同時に前からミキの声が響く。


 ミキ 「突き抜けし水の刃!ウェイブ・スライサー!」


数個の水でできた刃がボスの背中に直撃する。

よろめき、前へと倒れ込む。

そに隙にレージが頭部に思いっきり叩き込む。

ツノが折れて、スタンマークが上についたのを確認すると、一気に

叩き込む。


 レージ「おぉーーりゃぁぁーー」

 ミキ 「洗練たる水の濁流!スプレッド・スクリュー!」


レベルも去ることながら、コマンドの速さで技の出や威力に違いが

生じる。

ミキがユウヤと共に、狩りをしたことにより、最低限使える技も増え、

それ以上にミキ自身の器用さで着実に技を自分のものにしていった。

ボスが光り出して、一斉に弾けた。

その場にドロップ品を残して消え去り、周りを包んでいた炎も消え去っ

ていた。


 レージ「やったーー。ユウヤさん、ありがとうございました。なんて

     お礼を言っていいか…」

 ユウヤ「いいよ、礼ならこの子にさせるから。」

 レージ「え…」

 ミキ 「えーーーー。また夕飯当番逃げるな〜」

 ユウヤ「いいだろ?手伝ってやったじゃん。」

 ミキ 「そうだけど…でも…」

 レージ「えーっと、ミキちゃんって…」


話について行けていないレージは混乱していた。


 ユウヤ「あぁ、この子ね。身内なんだよ。一緒に住んでてな。それで

     今日の夕飯当番ってわけ。もしかしてイヤらしい事想像しち

     ゃったか?」

 レージ「いや…そんな…ことは」

 ミキ 「もう、仕方ないなぁ〜。明日はちゃんと夕飯当番やってよね」

 ユウヤ「分かってるって」

 ミキ 「ごめんね、レージ君。一緒に倒せてすっごい嬉しかったよ。

     あ!怪我してるじゃん。待ってて…」


レージの手を握るとミキが微笑んだ。そこでレージが怪我をしている事

に気づくと、杖をそっとそばに持っていく。


 ミキ 「癒しの水!ヒール・ウォーター!」


全身を水が包み、怪我をあっという間に完治させる。


 ミキ 「避けた時に当たったんだね、気づけなくてごめん」

 レージ「ありがとう、全然平気だから!」


見つめ合う2人にそっと後ろから近づき、背中を同時に叩いた。


 ユウヤ「もう、いいかな?」

 レージ「え…あ、はい!」

 ミキ 「なに!痛いじゃん」

 ユウヤ「そろそろリアルで寝る時間だ!ギルド戻って換金しなさい」


そう言われると長い時間ログインしていた気がする。

3人でギルドに戻るとドロップ品を換金し、分け合った。


 レージ「またね。」

 ミキ 「うん。また、明日。」

 ユウヤ「さぁ、今度は俺のクランを紹介するから入ってみるかい?」

 レージ「少し考えさせて下さい。俺、まだ弱いし迷惑だろうし」

 ユウヤ「気にする事はないよ。誰だって最初は弱いが、みんなで強く

     なって行けばいい。それにもうすぐイベントが始まるから気

     をつけた方がいいよ。」


そういうと、ユウヤはフレンド申請をレージに送った。

ミキの頭をポンポンと叩くと帰るよっと言って一緒にログアウトして

いった。

その場に残されたレージは少し悩むと、ミキの消えたところをしばらく

眺めていた。




 俊  「ねぇちゃん!さっきのなんだよ!」

 沙耶 「いいじゃない?そろそろ言おうと思ってたのよ。クランに入る

     と色々な特典あるわよ。」

 俊  「話すの苦手だって知ってるだろ?」

 沙耶 「いい機会だし、それに結構気軽に入れるクランよ。うちは」

 俊  「…レージも誘う事ないだろ?」

 沙耶 「あら?何かいけなかった?それともレージくん取られるのが嫌な

     のかしら?」

 俊  「そんな事は…ないけど」

 沙耶 「安心しなさい。邪魔はしないから。ずいぶん親しくなったのはい

     いけど、あんた男だって言ってるの?」

 俊  「へっ…」

 沙耶 「アバターは私が作ったから、それに合わせて音声も変換されるか

     ら、きっと言わないとわからないわよ。」

 俊  「…嫌われるかな?」

 沙耶 「早いうちに言っときなさいよ。後からだとショックも大きいから

     …お互いね」

 俊  「う…うん。そうする。」


可愛らしい見た目のアバターに反して、中身はコミュ症の高校生だ。

いつも周りから怖がられて誰とも話す事ができないでいた。


 俊  「そういえば…この前久しぶりに話せたっけ…」


掃除当番の時にクラスメイトから話しかけられたのを思い出す。

上手く返事できなかったが、少し嬉しかった。


 俊  「確か…池田礼司だっけ…普通に話せるといいな〜」


その頃、池田礼司本人はミキともっと話したがっていたのだった。




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