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END 少年の……
今、外では祭りが行われている。
それは魔王討伐祭である。
たった1人の少年が今まで世界を混沌に導いていた魔王を倒したのだ。
街中にひっそりとたっている一軒家。
特徴も無く、一般的な家。
《ぼくはもう疲れました》
そこに王家の使用人が入っていく。
祭りの主役を連れていこうとしたのだ。
《なので自分の生に終止符を打ちたいと思います》
内装も普通である。
これは彼女が気に入ってくれたため、無理を通してこの家にしたのだ。
《お父さん、お母さん。今からそっちへ向かいます》
いつも少年と少女が寛いでいたソファー。いつも笑顔を絶やさなかった彼女。
だがその彼女はソファーの上で息をしていなかった。
《あの世では彼女と幸せになれるかな?》
王家の使用人はそれに気づき、叫ぶ。
《どうやらお迎えが来たそうです》
魔王城を倒した勇敢なる少年は。
《それでは》
ロープに首をかけ
《皆さん。今までありがとうございました》
息をしていなかった。
そしてその少年の頬には水がたれており……
そして……
これはとある少年の日記。
何をしても救われることのなかった少年の最後の物語。