ロストハーツ〜月の姫と心を喰らう魔剣〜

　アスカリア王国に四獣将あり。
　４体の獣を二つ名に授かり、王国最強の騎士とする４人の内の一人――黒狼のレイン。
　彼は友であり、王子でもあるアルセルの護衛任務を終え、城へと帰還すると国王から新たな任務を授かった。

「敵国の王女を護衛せよ」

　最大の敵国、ルナセリア帝国の王女――ステラと親書を祖国、ルナセリア帝国まで護衛する事。
　それがレインの新たな任務だったが、その裏でレインは更なる密命を受けた。

「異変を感じれば、ステラ王女を暗殺せよ！」

　敵国の王女の護衛と暗殺を受けた騎士、レインの旅が始まろうとしていた。
　だが、これが大国どころか、この世界クライアスを巻き込んだ大きな事件の切っ掛けになるなんて、まだレインは知る由もなかった。