3 GWは東京に居残り③
AKBは三月末に前田敦子が卒業宣言をした。ちょうど、私達が大学入学に備えて、東京へ行く準備をしていた頃だ。
それからAKBはあっちゃんの卒業コンサートとなる東京ドーム公園に向けて盛り上がっているところであるらしい。そんなことを矢島は得意気にドヤ顔で語り続けいる。
私にとっては、実にどうでもいい話である。園村は矢島の話を興味津々に聞いていた。園村は指原莉乃がセンターに立てるようにできるなら、他はどうでもいいと言っていた。私はさし子よりも大島優子だろうと思ったが、あえて何も言わなかった。
男性が考える好みの女性と、女性が考える好みの女性は全く違うと改めて気付かされた。AKBもあれだけ人がいる。男性受けのいい人もいれば、女性受けがいい人もいるだろう。
また、スタイルがいい人もいれば、性格がいい人もいるだろう。結局、「蓼食う虫も好き好き」と言ったところである。数の多さで万人受けするアイドル集団になったのがAKB48であると私は思っている。
AKBの公園が終わった後、園村がカラオケに行こうと行ったので、三人でカラオケに行った。園村は合コンの二次会でも新歓コンパの後だろうと、何かの後にはカラオケに行きたがる。
それほど、カラオケが好きで仕方ないようだ。園村ほどではないが、実は矢島もカラオケが好きなようである。矢島はもっぱらアニメソングばかり歌っている。実は私、歌うのは全く好きじゃない。ただし、人が歌うのは聞くのは好きなので、カラオケには時々顔を出す。
「ほら、東雲さんもちょっとは歌いなよ。歌うと気持ちいいよ」
と、園村…。とんだ、大バカ野郎である。自分が歌うと気持ちいいからと言って、歌うのを強要するのは本当に止めて欲しい。本人はちょっとした気遣いのつもりかもしれないが、完全に余計なお世話である。
初めはそれなりに心地よかったが、度が過ぎれば極めて不愉快である。しかし、本人はよかれと思ってやっているだけに一層たちが悪い。本人がそのことに気付かない限り、彼はこんなことを一生続けるだろう。
それに引き換え、矢島は「歌いたい時は勝手に曲を入れるだろうから、歌いたくないならほっておけばいい」と言う考えだからありがたい。変な気遣いをされるよりかは、こちらの方がよっぽど気楽でいい。矢島のおかげで今回のカラオケは珍しく気楽に過ごせた。