17 園村の嘘は愛の一方通行⑤
「もう、大丈夫だよ。あとは煮込むだけだから…。何かごめんね。うまく作れずに、起こしてしまって…」
「いや、別にいいよ」
「それにしても、園村君はすごいね。私の家で無難におかゆを作るから…。私なんか、どこに何があるか、さっぱり分からずに、聞いてばっかりだったし…」
「いや、それは悠ちゃんが分かりやすく整理していたからだよ。俺さ、作るのは好きだけど、片付けが苦手でさ…。だから、台所、ごちゃごちゃだっただろう?」
「それ、フォローのつもり? それは私が普段あまり料理していなくて、調理器具をあまり触っていないってことでしょう?」
「そんなことは一言も言っていないから…。あっ、ちょっと、鍋!」
「何よ。そうやって、都合が悪くなると、すぐに話を反らして…。あっ、何じゃこりゃ!」
気付いた時には完全に吹きこぼれていた。慌てて火を止めたが、ガスコンロが汚れてしまった。おまけに鍋も少し焦げ臭い。大丈夫だろうと思い味見してみたら、少しだけこげた味がした。
「ごめん…。何か失敗したみたい。これ、食べない方がいいよ」
私がそう言うと、彼は突然、私からスプーンをひったくって、高菜&卵がゆの味見をなれた手つきでし出した。
「何、言っているんだよ…。高菜と卵の味に、ほんのりおこげの味がして、おいしいじゃないか…。ついでから、こっちへ持って来て!」
この気持ちはなんて表現したらいいだろうか…。園村はいつも優しい。それなのに、私はなぜかその優しさにカチンときてしまう。
彼は私を馬鹿にしているつもりなんかないからこそ、時々、私は一層惨めになる。園村がそのことに気付かない限り、私は園村に恋愛感情なんて抱けないだろう。きっと、そうに違いない。
どうすれば、園村は分かってくれるだろうか。いつか、彼がそのことに気付きますように…と祈るように、おかゆをお椀によそった。それから、私は彼の所におかゆを持って行くのであった。




