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狩人と農夫と獲物  作者: あまやま 想
第2章 偶然の出会い
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2 偶然の出会い③

 矢島とは未だに二人っきりで話したことがない。四人でいる時はようやく私と話せるようになったらしい。


 この歳になっても、未だに異性とまともに話せないような人が、好き好んで合コンに行くとも思えないが…。大泉が面白がって、連れて行ったとしか考えられない。それともただの作り話か?


 矢島に聞いた所で、答えが返って来ないだろうから、あえて聞くことはしない。


 そう考えると、園村の常識人ぶりが際立つ。両極端な二人の変人のつなぎ役として、彼ほど適任な人もいない。園村がいなかったら、もうすでに大泉と矢島はバラバラになっていただろう。


 園村は常に二人の間に立つ人であり、二人の暴走を抑える人であった。大泉のはしゃぎ過ぎにブレーキをかけ、矢島の引っ込み思案に対して、背中から後押しするような奴である。


「イズミン、俺も一人声をかけるから、さっき話していた合コンの件、よろしく!」


「全く、園村は抜け目がないなあ…」


「矢島はどうする?」


「僕はいいや。一回ぐらいは経験しとかないと…と思ったけど、もう、いいや。僕はああ言うの苦手だな…。秋葉原に行って、AKBでも聞いている方が気楽でいい」


「矢島、AKB好きなの? 俺も好きなんだよ」


「えっ、園村も好きなの? 今度、一緒に行こうよ!」


「イズミンは?」


「俺はいい。アイドルなんて、ブラウン管の向こう側の人だし…。アイドルよりも、目の前の女の子が一番だよ。ねえ、遥ちゃん、悠ちゃん」


「ちょっと、私に振らないでくれる?」


「もう、悠ちゃんったら…。せっかく。誘われているんだから、誘いに乗らないとダメよ…」


「遥と一緒にしないでくれる? もう、勘弁してよ…」


 そう言いながら、私は結局、周りに押し切られる形で週末の合コンに行くことになった。数合わせ要員として…。男は大泉と園村とその他三人、その他三人は大泉と園村が声をかけたらしい。私はその三人に全く興味がなかったので、顔も名前も覚えていない。


 唯一、記憶に残ったのは大泉の「曜日当てゲーム」であった。例えば、四月十二日が木曜日なら、七月十二日も木曜日であることや、三月十三日が火曜日なら十一月十三日も火曜日であることを言い当てて、周囲を驚かしていた。


 しかし、種明かしをしてしまえば、大したことではない。毎年、四月と七月、三月と十一月の日並びと曜日の関係は一致する。うるう年ならこれに二月と八月が加わる。大泉はそんなうんちくをドヤ顔で語っていた。


 それ以外、男性陣が話していることを、私は適当に頷きながら聞き流していた。女性は遥と私と他三人。もちろん、他三人は遥が全て声をかけた。遥は私にも声をかけるように言ったが、私がそんなことをやらされるぐらいなら行かないと言ったら、彼女が全てやってくれた。


 結果は男性その他三人と女性その他三人が結びついたらしく、大泉と園村と遥は大いにがっかりしている。三人には悪いが、私はそんな三人を滑稽だと感じてしまった。

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