16 12月のインフルエンザ②
珍しく慣れないことを考えたのがいけなかったのか、風邪をひいて寝込むハメになった。病は気から…とはよく言ったものである。
大学入学を機に上京してから、体調不良で寝込むのは初めてだったので、すごく心細く感じられた。それでもちょっと休めば楽になるだろうと思ったのに、熱で体が思うように動かず、冷蔵庫から飲み物を取り出すだけでも難儀するほどであった。
このままではさすがにいけないと思い、地元に詳しい矢島に連絡した。そして、近所にある内科を教えてもらい、病院へと向かった。
診断の結果…、なんと、インフルエンザと言われた。私は病院でもらったタミフルを飲んでようやく楽になれた。しかし、今度は薬の副作用ですごく眠くて仕方ない。これが効き目の強い薬の恐ろしいところである。私はそのまま深い眠りに落ちた…。
目が覚めると、もう夜だった。ふと携帯を見ると、私のことを心配して、大泉・矢島・園村・遥からメールが来ていた。
このままでは余計な心配をかけると思い、インフルエンザのため、一週間ほど大学に行けないことと、タミフルを飲んで少しは楽になったことを取り急ぎ伝えた。
それから、わずか十分ほど経った時だった。突然インターホンが鳴る。私は誰だろうと病で重い体を引きずりながら、ドアスコープで外をのぞいた。
すると、そこには園村がいたので、素でびっくりしてしまった。私はあえて、素っ気ない対応をして追い返そうと決めた。
「はい、どなた様ですか?」
「園村です。悠ちゃん、お見舞いに来たよ」
「その気持ちは嬉しいけど、インフルエンザがうつるから、その気持ちだけで十分よ」
「いやいや、せっかく、おかゆの材料を持って来たんだから、台所を貸してよ。それに俺、去年、インフルエンザにかかったから大丈夫!」




