14 秋桜祭⑧
「それなのに、どうして、別れたんですか?」
「お互いに…苦し過ぎて、ダメになりそうだったから…」
「何で、そんなことに?」
「分からない…。どうしてか、私が知りたいぐらいよ。本当に不思議よね…。あれほど、楽しかったのに、ある頃から、相手といることが急に負担になって来たの…」
ふと、空を見上げると、まだしし座流星群はまだ流れ続けていたが、平尾さんは全く夜空を見ていなかった。
一緒にいるのが楽しくて仕方ない二人が、どうして突然、相手のことを負担に思ってしまうのか? まだ、誰とも付き合ったことのない私には、さっぱり分からずじまいである。
「それなら、付き合うことなく、ずっと友達のままでいた方がよかったと思いませんか?」
質問した後、私はしまった…と思い、思わず口を両手で塞いだが、すでに遅かった。しばらく、平尾さんは口をつぐんだまま、ぼんやりと夜空を見上げていた。完全に放心状態の平尾さん…。私はただオロオロとするばかりである。すると突然、彼女は私を見据えて、言い放った。
「いや、私はそうは思わないね。友達だから、ずっといい関係が続くとも限らないからね。同性とか、異性とか、関係なく…。どんな関係でも、一緒付き合っていける関係になるのは、数えるほどしかいないでしょう。女同士でも大変なのにさ…」
「はい...」
「ましてや、男と女であれば、友達であれ、恋人であれ、一生続けていくのは、それ以上に大変よ。だから、せっかくのチャンスを無駄にしたらダメ! そりゃ、大泉君のような人なら、私もこんな風には言わない。でも、園村君なら大丈夫!」
「申し訳ありません。先ほどは言い過ぎました…」
「いいのよ。悠ちゃん。気にしなくて…。気にするぐらいなら、始めからこんな話をしないから…。まあ、とにかく最後に決めるのは悠ちゃんだからね!」
確か、見えないものを見ようとして望遠鏡を担いだはずなのにな...。気づいたら見えてるものを見落としていた事に気づかされた天体観測であった。




