14 秋桜祭⑦
「平尾さんなら、こんな時、どうされますか?」
「私? そうねぇ…。私なら、迷わずに付き合うけどね。さっきも言ったけど、付き合ってみないと分からないことだらけよ。お互い、両思いで付き合い出したのに、うまくいかなくて、すぐに別れる人もいるし…。相手がすごくアピールしてくるから、とりあえず付き合ってみたら、思いの外、相性が良くて結婚までする人もいるからね…。そう言うのって、本当に分からない…」
この人、星のことしか頭にないのかな...と思っていただけに、ギャップにただ驚かされる。ちゃんと乙女な事もしていたんだ...と先輩である事も忘れて心の中で突っ込む。
「もしかして、昔、相手に言い寄られて、付き合い出した事があるんですか?」
「悠ちゃんだから話すけど、大学二年の時だったかな…。そう、相手に押し切られる形で付き合い出したのよ。まあ、一年間は続いたかな…」
衝撃が続き過ぎて、もう訳が分からない。地上に輝く星は誰も見ていないとは言ったものである。私は完全に耳年増と化していた。
「今はゼミも違うから、ほとんど会うこともないけど…。同じ文学科だったから、昔はよく講義を一緒に受けていたな…。相手から『付き合おう!』と言われるまで、私は仲のいい男友達としか思ってなかったけど、いざ付き合ってみるといろいろな発見があって、とても新鮮で楽しかった!」
私はびっくりして、また望遠鏡に頭を打とうとした。もう、これはしし座流星群どころではないな…。せっかくなので、さらに突っ込んだ質問をしてみる。




