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狩人と農夫と獲物  作者: あまやま 想
第14章 秋桜祭
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14 秋桜祭④

 そして、とうとう秋桜祭の時期がやって来た。私は「水あめせんべい」が一体何なのかが気になっていたので、水あめせんべい作りを手伝う事にした。


 水あめせんべいとは、えびせんべい二枚で水あめをはさんだものである。まず、割り箸で水あめを小豆大の大きさほどすくい、割り箸二本使ってうまくまとめる。


 その後、両側を水あめせんべいではさむ。至ってシンプルな作りだが、えびせんべいのほどよい塩気と水あめのあまみがお互いにいい味を出していて、たいへんおいしい。これは癖になる味である。さらに水あめを取る時に使った割り箸が取っ手になって、とても食べやすい。


 これを最初に考えた人はすごい。先輩の話では、堀川教授がまだ鹿児島大学の学生だった頃に学園祭で食べた水あめせんべいがおいしかったので、それを秋桜祭でも出したら売れるのではと言ったのが始まりらしい。


 それからすでに二〇年ほど経っており、東京で「水あめせんべい」と言ったら、秋桜祭の名物の一つとて上げられるようになっているほどである。


 そのため、生物資源科では伝統的に学科全体が一丸となって、この出店に取り組みらしい…。ああ、実に迷惑な話である。もう一つの「きなこもち」は最近始まったらしい。


 こちらはもちときなこさえあればできるし、水あめせんべいも水あめとえびせんべいがあればできるので、料理が苦手でも問題なくできる。ただし、人付き合いが苦手な人のことは、一切考慮されていないことは実に残念である。

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