14 秋桜祭③
十一月に入ると、最初の土日が秋桜祭なので、みんなの気合いの入り方も一段と増す。祭りに熱くなっている人と冷めている人の温度差は大きくなる一方である。最近、矢島がAKBなんてどうでもよくなったと言っていたのでみんな驚いていた。
「俺、前も言ったと思うけど…。あっちゃん推しだったから、あっちゃんが卒業した後からCD買うのが馬鹿らしくなってさ。さらに十一月には組閣もあって、チーム4も無くなって、またかつての三チーム体制になったし...」
「...」
「そして、メンバーもかなり変わったからね…。もうチームAも全く別のチームだね。それにNMBとかSKEとかHKBとかに移動したり、また、そこからAKBにやって来たりで、秋Pは何がやりたいのか全く分からんし…」
「...」
「あーあ、昔はファンとの一体感があってよかったのに、今じゃ、選抜メンバーがとても遠くに感じられるよ…」
矢島が珍しく一気にまくしたてたので、みんな空いた口が塞がらなかった。そして、ついこの間まであれほどアイドルにはまっていた人が、こんなに簡単に冷めるものかと感じずにはいられなかった。
そして、その穴を埋めるかのように、矢島は大泉と一緒に近郊の大学の学園祭巡りやら、実行委員会の手伝いやらをしている。園村は馬術部が忙しいと言って、二人とは一緒に動くことが大幅に減った。
特に学園祭巡りに関しては、全く関わる事はなかった。遥は大泉と矢島の後をよく付いて回っていた。なので、最近は大泉と矢島と遥の三人で一緒に行動する事が多い。だからと言って、私が園村と一緒に行動することはまずない。私は必要な時だけ、彼らと一緒に動く事にしていた。




