13 秘密基地、手に入れました⑤
「とりあえず、もう帰ろう。このまま、ここにいても冷える一方よ」
「そうだな…。でも、その前に一言、言わせてもらってよか?」
園村が時々遥や私の熊本弁を真似する事があるけど、こんな場面で真似をするなんて...。園村って、バシって決められない人間だよな...と感じられた。ああ、違う! 違う! 園村の暴走を止めないと...。
「言うな!…と言っても、言うんでしょう?」
「俺はやっぱり、悠ちゃんが好きだ! ちょっとは考えてくれないか?」
園村は懲りずに二回目の告白をした。前回と違って、さすがに無下にはできない。でも、やっぱり、彼の気持ちには応えられない。園村とは仲のいい友達でいたい…。彼氏にはなれない…。
「そう思ってもらえるのは嬉しいけど…。やっぱり、ごめんなさい。私は園村君を友達以上には見ることできん…。本当にごめんなさい。あっ、上着返すね…」
急に緊張したのか、体が火照ってきた。上着を脱ごうとしたら、園村はまた私の動きを押さえつけられる。
「ちょっと、離してよ…。園村君が急にそんなことを言うから、緊張しちゃった…。それで急に熱くなったと…」
まあ、さすがに、ここでこのまま逃げ帰るのはあんまりか…。よし、ちょっとだけご褒美をあげることにしよう。 それに、私も夕飯まだだし...。
「まっ、せっかくだから、ごはんを食べて帰ろうか…。園村君の障害走、準優勝祝いってことで…。あっ、勘違いしないでよ。これはあくまで準優勝祝いよ!」
「ありがとう…。今日はそれでいい…」
何が『今日はそれでいい…』だよ。まあ、園村の表情がみるみるうちによくなってきたことだし、何となく雰囲気がよくなったからいいか。私は何度も自分に、今日はあくまで園村の準優勝祝いなんだと言い聞かせながら、大学の前にある某ファミレス店に向かった。




