13 秘密基地、手に入れました④
表彰式の前に、馬術総合競技があった。これは馬場馬術と障害飛越競技の二つを合体させたものである。これはフィギュアスケートで言うところのフリープログラムに当たるものだと園村が教えてくれた。
他の二種目は各大学から最大三名出られるが、総合には各大学代表の一名しか出られない。やはり、総合競技は馬場馬術と障害飛越競技の二つを合わせたものとだけあって、双方に優れていなければ、出場は厳しいだろう。そのため、出場条件が他の二つに比べて制限されているらしい。
表彰式の後、園村は後片付けがあったので、再び馬術部に戻って行った。大泉、矢島、遥、私の四人は途中まで一緒に帰っていたが、他の三人はバイトがあると言って、途中でバラバラになってしまった。
私は早い時間から誰もいない部屋に帰っても寂しいので、天文同好会の会室に行く事にした。もしかしたら、四谷さんか平尾さんがいると思ったからだ。しかし、会室の鍵は閉まっていた。
仕方なく、私は一人寂しく時間をつぶしていた。まあ、こんな日もある…と思う事にした。最近は昔の同好会会報を見たり、講義のレポートを書いたりしている事が多い。
ふと、目を覚ますと外は真っ暗だった。私はいつの間にかウトウトと眠っていた。時計を見ると午後七時を過ぎていた。十月も半ばを過ぎ、夕暮れの時は早まるばかりである。
昼間、馬術部の大会の会場にいた時はあんなにポカポカしていたのに…。外も中もすっかり冷え込んでいる。薄手のカーディガンではさすがに寒いので、急いで家路に就こうとした時だった。
「悠ちゃん、こんな時間までここにいたと? 熱心だね…」
突然、園村が会室にやって来たのである。大方、馬術部で大学に戻って来て、片付けが終わった後に立ち寄ったのだろう。
「いやいやいや、園村君こそ、どうしたと? 他のみんななら、大東農大からまっすぐ帰ったよ。私は特にする事なくて、フラッとここに寄っただけ…。私もすぐに帰るつもりだったけど、いつの間にか眠くなったつたい。今さっき、目を覚ましたところ…」
「そうか、それはかえって都合がいい」
「いやいや、私、もう帰るよ。ほら、こんな格好だから、すごく肌寒くてさ…」
そう言ったとたん、彼は迷う事なく私に上着をかぶせてくれた。こんなことを望んでなかったけど、あ
まりにも迷いのない動きに不覚にも一瞬だけうっとりしてしまった。
「そんなことしたら、園村君が寒い思いするでしょう?」
私は彼のペースに巻き込まれてはいけないと思い、急いで彼の上着を脱ごうとすると…。
「大丈夫。俺は寒くない。さっきまで片付けで体を動かしていたから…」
そう言って、私の動きを制した。小刻みに体を動かしながら…。何で格好つけるかな? 本当に寒くないなら、上着を着てなかったはずだ。さっきまで着ていたものをとっさに脱いだものだから、寒くて仕方ないくせに…。
どうして、そんなことをするのだろう。 私には園村がとても滑稽に見えた。不覚にも一瞬でもうっとりした自分を恥じる。




