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狩人と農夫と獲物  作者: あまやま 想
第13章 秘密基地、手に入れました
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13 秘密基地、手に入れました③

 そんな話をしているうちに、馬術部の新人戦大会が始まった。最初に馬場馬術から行われた。馬を美しく動かすと言うのが、今イチピンと来なかったが、見ているうちに何となく分かってきた。確かに、空手の演武とかフィギュアスケートのように馬が動くのである。それも騎手の絶妙なコントロールで…。


 もう一つ、面白いと思ったのは、馬術が他のスポーツのように男女別になっていないので、男女ともに同じ土俵で勝負する。確かに、馬をいかに操るかを競う訳だから、男女の体格差や体力差は全く問題にならないわけである。そのようなスポーツは馬術だけだと園村が言っていた。


 やがて、園村が出て来た。彼は馬に乗るようになってから日が浅いせいか、他の人に比べると明らかに見劣りするように思われた。それは他の四人も感じたようで口々に、


「やっぱり、高校からやっている人や、三年生や四年生がうまいよね…」


…なんて言っていた。大泉なんか、


「あいつが馬に遊ばれているように見える」


…なんて言う始末だ。私はいくら何でもそこまで言うなんてと思ったが、それに近い事を考えたのは事実なので黙っておいた。


 馬場馬術が終わると、次は障害飛越競技である。簡単に言えば、馬の障害走だ。さっきとうって変わって、馬の障害走では彼はピカイチだった。


 見る方も速ければよいと分かるので、評価しやすかった。障害飛越競技は予選を四人一組で競っていた。彼はその中で一位になったのである。


 正確には十二匹の馬のタイムで上位四匹が準決勝に進めるので、三組ごとに予選は進められた。彼は見事に上位四匹に入り、順当に準決勝に進出した。準決勝では一位のみが決勝に進める。ここでも園村の馬は一位に入り、見事に決勝へと駒を進めた。馬場馬術とのあまりの変わりぶりに、私達四人は思わず言葉を失ったほどである。


 ここまで来れば、もう四八匹の中の上位四匹に入っているのだから、それだけでもすごいことである。私達は声をからして、園村を応援した。惜しくも、園村は優勝を逃したものの、二位に滑り込み準優勝になった。最後の表彰式で


「大学一年生で、まだ馬に乗り出して半年足らずなのに、このような成績を収めるとはすごい。今後がますます楽しみだ」


と大会会長である大東京農大の馬術部顧問に言わしめたほどだ。園村は照れて、顔中を真っ赤にしていたので、見ているこちらが恥ずかしくなるほどであった。

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