12 秋のお月見会②
私達三人は夕食を食べながら、男性陣について、それぞれの独断と偏見で厳しい評価をしていた。その中でも大泉の話題で持ち切りだった。
「大泉君って、もてそうよね?」
「平尾さん、あいつは女癖が本当に悪いですよ!」
遥は大学に入ってからの恋愛遍歴を話し出した。大学に入ってすぐの頃、大泉と付き合っていた事、一緒に旅行に行くためのお金を貯めるために一緒にバイトを始めた事、バイトの先輩に浮気された末に大泉にふられた事などを一気に話した。
あまりの勢いに平尾さんも私もただ頷く事しかできなかった。十分ほど話して、ようやく落ち着いたのか、遥は前のめりになった体をドサッと背もたれに預ける。平尾さんと私は顔を見合わせた。そして、三人でため息をついた。
「そうなんだ。それは遥ちゃん、つらかったね…」
「平尾さん、分かってくれますか?」
「もちろんよ。でも、男ってさ、みんな、そんなモノなんじゃないのかな?」
遥と私は思わず、目を見合わせた。確かに、大泉みたいな男もたくさんいるが、園村や矢島のような男もたくさんいる。大泉が男の全てと言うのはさすがに言い過ぎである。もしかして、平尾さん、男運がすごく悪いのではないだろうか?
「そう言うモノなんですかね…」
「そうよ、遥ちゃん。どんな男だろうと、好きになった人とうまくやっていくのが、女の力量ってもんよ!」
「それはそうですけど…。私にはそんな力ないので、男を見定める力をつけたいですね」
「遥、選眼力をつけるのも、それなりに難しいと思うけど…」
「悠ちゃん、私みたいになりたいと? やっぱり、女の幸せはいかにして、いい男を見つけるかにかかっていると思うんだよね」
「遥ちゃん、私なら大泉君とうまくやっていける自身があるけどな…」
「いやいや、平尾さん、ダメですよ。あの外見とか、雰囲気にだまされたら…。彼は付き合い出したら、コロッと変わるダメなタイプです。釣った魚にはエサを上げないですよ…本当に!」
平尾さんと遥とのやり取りを聞いていて、男と付き合った事がある人は違うな…と感じた。でも、好きな人がいないのに、無理して付き合うのはやっぱり違う…。
少なくとも私はそう感じる。それと、ちょっとでもいいな…と思ったら、何も考えずに付き合うべきなのか。それにしても、大泉の存在は本当に罪である。そこにいるだけで、何人もの女性をとりこにしている。そして、話題にせずにはいられない…。本当に嫌な奴である。




