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狩人と農夫と獲物  作者: あまやま 想
第11章 大泉汀の迷走?
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11 大泉汀の迷走?④

「グレゴリオ暦とユリウス暦の違いはうるう年の設定の仕方にあります。ユリウス暦は四年に一度うるう年を設けますが、グレゴリオ暦は四百年に九七回うるう年を設けます」


「その理由は?」


「地球の公転周期は三六五・二四二二日で三六五・二五日だと微妙なずれが生じるからです」


 もはや、私にはさっぱり分からない。そもそも、公転周期は三六五・二五日だからうるう年を4年に一度挿入すれば良いのではないのか? 園村も矢島もよく分かっていないのか、首をかしげているではないか…。


「すばらしい。だから、一七〇〇年、一八〇〇年、一九〇〇年はうるう年にならない。でも、二〇〇〇年はうるう年になる。そして、二一〇〇年、二二〇〇年、二三〇〇年もうるう年にならない。そうする事で、四百年で九七回のうるう年が来るようになっている。その誤差は三三〇〇年にわずか一日遅れのずれ…」


「暦と天文学は一心同体です」


「ありがとう、悠ちゃん。悠ちゃんのおかげで、天同にまたしてもいい人材が入ったよ」


「いやいや、私は何もしていませんから…」


 危ない! やけくそになるあまり、思わず平尾さんにぞんざいな言い方をしそうになったではないか! 大泉の馬鹿野郎! 園村と矢島の大馬鹿野郎!


「何を言っているのよ。だって、大泉君も含めて新しく入った一年生はみんな悠ちゃんの知り合いじゃないの。本当に助かる」


 そう言って、平尾さんは大喜びしていた。遥はただ引きつった苦笑いを浮かべている。四谷さんを含めた残りのメンバーは平尾さんと大泉のハイレベルな太陰暦と太陽暦の話に、ただ首を傾げるばかりであった。


 意外にも四谷さんは天文や暦に関する知識は私達とそれほど変わらないようだ。いろいろ、難しい話が出ていたが、さっくり要約するとうるう年は四百年間で百回は来なくて、九七回しか来ないと言う事が分かれば充分だろう。


 そして、余分な三回は西暦で百で割り切れて四百で割り切れない年に省く事でうまい事調整していると…。ああ、もうお腹いっぱいだ…。


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