11 大泉汀の迷走?①
「やあ、悠ちゃん、久しぶり!」
何で、ここに大泉汀がいる…。私は思わず帰ろうかと本気で思った。園村と矢島に『天文同好会に誘ってくれたお礼に飯をおごるから』と言われて、彼らにのこのこついて行った事を、心の底から後悔した。
遥も誘ったらと言ったら、『二人分、おごるお金はないし、飯倉さんも東雲さんに誘われて入ったんでしょう』と言われた。
しかも、この日、遥は新しいバイトの面接があると言って、天同の会室に寄る事なく、さっさと帰っている。この時を待っていたかのように、園村と矢島の二人は動いた。
「大泉君、久しぶり。バイト先の彼女とはうまくいっているの?」
「東雲さん。イズミン、彼女に捨てられたんだよ…。それには触れないでやってくれ」
と、園村が耳元でささやく。私はフン、いい気味だと思った。これで、遥がどんな気持ちだったのか、少しは分かったのではないだろうか。
ここ数ヶ月、遥と一緒にいる時間が長かったせいで、私はすっかり彼女に感情移入していた。大泉が遥と付き合っていた頃には思いもしなかったことである。
「ちょっと! 園村君、矢島君。これ、どう言う事? きちんと説明してよね。これでも私、遥の味方なんだからね。ここで大泉君と会う訳にはいかないの…」
「まあまあ、悠ちゃん。とりあえず、俺の話を聞いてくれるかな。こう見えても、俺、暦に詳しいんだ。ほら、ずいぶん前にカレンダーの話をしたでしょう?」
「それが?」
「だから、天文学と暦は深〜い関係があるの。だから、仲間に入れて欲しいな…」
「分かった。とりあえず、話を聞こう。でも、遥が許すかどうかは分からんよ。それに四年生の先輩にも話を聞かないといけないし…」
「もちろん、それでいい」




