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狩人と農夫と獲物  作者: あまやま 想
第6章 梅雨空とAKB
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6 梅雨空とAKB①

 会長の四谷さんはいつものほほんとしている。天同で、天体観測に関して、誰も四谷さんをあてにする人はいない。彼は大学から予算を取ってきたり、会計処理したりすることを得意としていた。小所帯なので、会長が会計や庶務のようなことまでやる。


 一方で平尾さんは天文に関する知識が大変豊富だし、行動力も大いにあるので、彼女が実質上の天文同好会のオーナーのようである。わずか十人足らずの組織だけど、よく考えると実に不思議な組織である。


 四年生の二人を除けば、残りはみんな一年生だ。金環日食と金星の太陽面通過と言うビックイベントが終わってから、早くも一年生の半分が姿をくらましている。


 別に活動日が決まっている訳でもないので、私も気が向いた時に顔を出しているだけだ。それなのに、私が行くと、決まって四谷さんと平尾さんが必ず部屋にいた。別に二人は付き合っている訳でもない。


 どうやら、それぞれに付き合っている相手がいるとのこと。二人は天文同好会を支え合う同士と言ったところか? よく分からないけど…。


 天同は良くも悪くも就職活動の際、面接での印象を良くするためのペーパーサークルである。何も部活やサークルをやっていないと面接で集団行動に難があるとか、社交性がないとか勝手に決めつけられる。


 だからと言って、入ってもいないサークル名を出す訳にもいかない。サークルに入るのは面倒だけど、サークルに所属した実績が欲しい人に天文同好会は最適である。


 しかし、全員が幽霊サークル員では存続に関わるので、四谷さんや平尾さんのような存在はとても貴重である。このような実務者がいるからこそ、大多数の人は幽霊サークル員の恩恵に預かれるのだ。

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