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狩人と農夫と獲物  作者: あまやま 想
第5章 2012年の天体ショー
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5 2012年の天体ショー③

 平尾さんの話を園村と矢島にしたところ、実に意外な答えが返って来たのでびっくりした。


「そんなの当たり前じゃないか。誰だって、一つぐらいは『これだけは譲れない!』ってモノを持っているものだよ。僕だったら、AKBに関してはどんなことがあっても譲れないな…」


「矢島のいう通りだよ。俺だって、今なら馬に関しては譲れない!」


「なるほどね。私には今のところ、そう言うのないな…。すぐに目移りするんだよね…」


「それなら、東雲さんは自由であることにこだわりを持っているんだよ。だって、束縛されることを誰よりも嫌うでしょう?」


 まさか、矢島からそのようなことを言われるとは思わなかったので、思わず、えーっ!…と大きな声を出してしまった。彼は意外と周りを見ていないようで、実は周りをよく観察している。


 確かに私は何よりも束縛のたぐいを嫌っているのかもしれない。だから、園村の過剰な気遣いや行き過ぎた親切に、いらだちや歯痒さを誰よりも強く感じるのかもしれない。やっぱり、苦手だな…。趣味、人間観察ってタイプの人も。


「もしかして、東雲さんって、ちょっとした指図とかにもムカって感じるタイプなの?」


「いやいや、まさか…。まさか、そんなことある訳ないでしょう…」


 矢島の一言に何かを感じ取ったのか、園村までが変に的得ることを言い出した。私は本当にとまどいを隠せずに、目が完全に泳いでいる。視点が全く定まらない。やばい、このままでは…。


「あ、私、行かなきゃ。じゃあね!」


「どこへ?」


「何を言っとると? 天文同好会に決まっているでしょう。それではさようなら!」


 ああ、やっぱり園村はいつも通りである。よかった。私の思い過ごしで…。私はホッとして、落ち着いた足取りで天文同好会へと向かう。

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