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狩人と農夫と獲物  作者: あまやま 想
第4章 利害関係の一致から始まる恋
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4 利害関係の一致から始まる恋②

 五月も下旬にさしかかる頃、園村は馬術部に入ったと言って、私達を驚かせた。


「農学部と言えば、やっぱり馬でしょう?」


なんて訳の分からぬことを言う始末である。はっきり言って、意味不明である。


 大泉と遥は授業中もいちゃいちゃしていて、多少目障りなことを除けば、四月の頃のように強引に合コンを企画して、合コンに誘うことがなくなったので、私は正直ホッとしている。


 時々、園村、矢島、私の三人の中に入って来ることもあるが、ほとんど二人でいることが多い。この日も、授業が終わった後に三人と一組のカップルが気付いたら集まっていた。


「へえ、園村もサークルに入ったんだね。それにしても馬術部とは意外…」


「そうかな…。昨日、初めて馬に乗せてもらったけど、すごく楽しかったよ。イズミンも飯倉さんと二人で馬に乗ったらいいよ」


 五人で一緒にいると、園村はよく大泉と遥をからかう。うらやましいのは分かるが、園村の場合はやり方がいささか露骨すぎる。矢島は楽しそうだが、私はそう言うのあまり好きじゃない。やっぱり、からかい一つとっても男女間では感じ方が全く違う。


「もう、園村君ったら、何でそんなこと言うと?」


 遥が少し顔を赤らめながら言い返す。大泉と付き合い出してから、以前ほど熊本弁を隠さなくなった。大泉から、熊本弁かわいいと言われたらしい。それにしても流せばいいのに…。なんでいちいち言い返すかな…。


 そんな調子だから、園村が面白がって言うのが分からないらしい。それとも、あえて確信犯としてやっているのか? そうだとしたら、この女、思った以上にぶりっ子しているし、性格悪いぞ。大泉、気をつけた方がいいぞ。


「東雲さん、せっかくだから馬術部に入らない?」


「いやいや、私、もう天文同好会に入ったから…」


「別に掛け持ちしても、大丈夫だよ!」


「はあ?」


 思わず、大きな声で「はあ?」と言ってしまった。園村の思わせぶりな発言には私だけでなく、他の三人も思わず首を傾げるほどだった。もし、そのような気持ちがちょっとでもあったとしても、少しは相手に配慮のある聞き方をして欲しいものである。


「園村って、もしかして、悠ちゃんに気があるの?」


 大泉がさっきの仕返しをする。誰が聞いても、園村が私に対して気があるとしか思わないだろう。そう思われて当然の発言だ。私は実に迷惑である。

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