actual world&spirit world Ⅰ-Ⅱ
東地区の大通りを駆け抜け南地区に入る。目的地である転移神殿が見えてくると二人は互いに頷き合い、入り口に向う。プレイヤー達で賑わう広いエントランスを抜け、二人は転移神殿の中に入ると、明るく幅の広い通路を進む。ミナトは隣を早足で歩くユズリハに尋ねる。
「僕、ポータルを使うの初めてなんだけど、どういう風に使えば良いの?」
「簡単だよ、転移魔法陣の上に乗って、行き先を選ぶだけ、移動料金はギルドカードから自動に引き落とされるから手続きも要らないよ」
ユズリハの説明に頷くと、人の居ない転移魔法陣の上に乗る。直径三メートル程の綺麗な円形の魔法陣には文様が刻まれており光を放っている。
周囲には多くの魔法陣が設置されており、次々と人が目的地に向かい転移していた。
「えっと……」
魔法陣の上で戸惑っている、ミナトの目の前にウィンドウが現れる、其処にはミナトが訪れた事のある場所が表示されている。
「なるほど、これで行き先を始まりの都に設定すれば良いんだね」
「そうだよ、選んだら転移が始まるから魔法陣からは出ないようにね」
ミナトは行き先を設定すると魔法陣の文様が光を強くする。円形の文様から光が上がり、光の柱となってそのまま上に伸びていく。目の前が光の幕で覆われ、直ぐにそれが収まると先程と変らぬ光景が目に飛び込んでくる。
「あれ? 同じ場所?」
「違うよ、転移は済んだよ、ここはもう始まりの都の転移神殿の中だね」
ユズリハのその言葉に、ミナトは驚きながらあたりを見渡すが、似た様な光景の為の今一歩判断出来ずにいた。
「取り合えず外に出てみれば分かるさ、待ち合わせしてるんでしょう?」
「そうだね、待ち合わせの場所はクライマーギルドの前だから急ごう」
二人は転移魔法陣から降りると出口に向って走り出す。転移神殿から外に出ると目の前には見慣れた、始まりの都の街の姿が現れる。
「本当に転移したんだ……ポータルって凄く便利だね」
「うん、これのお陰で移動時間が短縮出来るし、ポータルが設置された時はプレイヤー達は凄く喜んだって聞いた事がある」
二人はそうやって話しながらも、足はクライマーギルドに向い進んで行く。ミナトは思い出したかのようにユズリハに尋ねねる。
「ユズリハさんは何か予定があったんじゃないの? こんなに早くログ・インしたんだから……もし予定があるならそっちを優先してくれて良いんだよ?」
「別に何か予定があって速く入ったわけじゃないから、それに新しく仲間になる子にも速く会いたいし、気にしなくて全然良いよ」
笑顔で答えるユズリハを見ながら、ミナトはクライマーギルドを目指す。目的地が見えてくると、ミナトは辺りを見渡しながら橘花の姿を探す。
「そういえば、キャラクター名も分からないんだ……見つけられるかな……」
ミナトは心配そうに周囲を見渡すが、橘花の外見がどれなのか判断が出来ないでいると、遠くからミナトを呼ぶ声が聞こえてくる。
「おーい、皆人~、こっちだぞ、こっち向け~~!」
声のする方に視線を向けると、一人のハーフエルフの少女が手を振っている。
綺麗な金髪をストレートに伸ばし、紫に輝く綺麗な瞳は好奇心で溢れている。若干凹凸の少ない小さな体に綺麗な青色のローブを纏って、元気に手を振っているの顔はミナトの知っている橘花だった。
「約束の時間通りだな。女を待たせないのは良い男の条件だと、お母さんも言ってたぞ」
「はは、ありがとう、それにしても現実そのままを外見にするなんて、僕だけだと思っていたけど……」
ミナトは瞳と髪の色以外は現実のままの橘花の姿に苦笑を浮かべる。
「だって、愛着があったほうが良いって言っただろ? 自分の体なら愛着があって当たり前だし、それに外見作りに時間をかけたくなかったのもあるけどな」
橘花は嬉しそうにそう言うと、ミナトの手を取り、自分の瞳を指差すと言い放った。
「ほら、皆人とお揃い種族だし、瞳の色も紫だぞ! これでおれも、じゃきがん仲間だな!」
橘花の大声で、周囲に居た何人かの中二病プレイヤー達が胸を押さえて悶える。
「くそっ、違うんだこの外見を作ったときは妙なテンションだっただけで……」
「黒歴史……それは誰しもが持つ暗黒の一部、俺だけじゃない、俺だけじゃない、俺だけじゃない」
「古傷にダイレクトアタックとは……あの少女はまさか……俺の運命を知る……」
ミナトは苦笑を浮かべると悶える男性プレイヤー達に頭を下げながら、橘花を連れてギルドの中に入る。不思議そうな顔をしながらついて来る橘花、その後ろには同じく苦笑を浮かべながらユズリハがついて行く。
「ところで皆人、後ろからついて来るお姉さんは誰だ?」
「これから、一緒にPTを組む事になる。ユズリハさんだよ、僕も色々お世話になってる人で、先輩プレイヤー……そして大事な仲間だよ」
ミナトの説明に、ユズリハは若干顔を赤く染めながら、橘花に向って挨拶をする。
「ボクはユズリハ、ミナト君とPTを組んでるんだ、種族は人間、職業は猟兵。遠距離支援が専門。よろしくね」
「おう! おれは橘花って言うんだ、よろしく! ユズリハお姉さん」
二人は笑顔で挨拶を交わすと互いに握手する。ミナトはそんな二人のやり取りを微笑ましく見守る。
ユズリハと橘花は楽しそうにお喋りをしながら、互いの呼び名について話をしている。
「ボクを呼ぶときはもっと、砕けた感じで良いよ、呼びにくいでしょう?」
「そうでもないけど……でもお言葉に甘えて、それじゃあ……ユズねえって呼んで良いかな?」
「勿論、それじゃあボクはキッカって呼ぶけど良いかな」
「いいぞ! それじゃあユズねえ、今日からよろしくな」
「うん、こちらこそよろしくね、キッカ」
互いの呼び名が決まった所で二人は視線をミナトに向ける、それに気付くと少し距離を取っていたミナトは二人の傍に近づくと、背後からからかうような声が三人の耳に届いた。
「あらあら、随分と可愛らしい子を仲間にしたのね、ミナト君も中々やるじゃない。ユズリハに続いて、今度は年下とか隅に置けないなぁ」
「シルエルティさん……人聞きの悪い事言わないで下さい」
「そうだよエルティ。ミナト君は、誰彼構わず手を出すような…………」
「なんで途中で言葉を止めるのかな?」
「いや、言われて見ると中々的を射た意見だと思ってさ。他にも随分と女の子の知り合いが多いみたいだし!」
「そうなのか!? イケないんだぞ! 皆人!」
ユズリハは若干冷めた目で、キッカは怒った様な目で、ミナトに強い視線を向けてくる。
「言い掛かりだよ! 誰の事を言ってるのか分からないけど、僕はそんなに女の子の知り合いなんておいないよ!」
「polestarの天目一音さんに、店長の琴さん……それに、そこの関係者でもあるらしい……リーフって名前の女の子、ついでにそこにいるエルティとも仲が良さそうだよね」
「皆人、お前…………」
ユズリハの冷たい視線も然る事ながら、悲しそうな目で見つめて来るキッカの視線の威力にミナトはたじろぐ。
そんな三人の遣り取りを肩を震わせながら見つめているシルエルティの姿を、ミナトは恨めしそうな目で睨む。それに気付くとシルエルティは苦笑を浮かべながら助け舟を出してくれる。
「まぁ、ミナト君の日頃の行いは近くで見ていた、ユズリハが一番良く知っている事だと思うし、私の目から見ても、そんなに器用なタイプには見えないからね、そっちの子もそんなに心配そうな顔をしなくても大丈夫よ」
「何だよ、最初に言い出したのはエルティじゃないか……それに言われなくてもミナト君が、そんな事するなんて思ってないよ、ただ、少しからかっただけ!」
シルエルティの言葉に顔を紅くしながら、ユズリハはそう言ってそっぽを向く、悲しげな顔をしていた キッカも何時もの勝気を瞳に宿らせると、同じく顔を紅くしながらシルエルティの言葉に反論する。
「そうだぞ! おれだって皆人の事を疑ってなんかいないぞ!」
「少しからかいすぎたかしら……分かってるから、ミナト君にそんな甲斐性がある訳無いじゃない」
「合ってるから反論はしませんけど……何気に酷い言い草ですね……」
ミナトはシルエルティのその言い草に抗議の声をあげるが、事実無根という訳ではないので、その言葉は余り強いものではなかった。
「ふふ、そう不貞腐れないで、真面目だって褒めてるんだから。さて、皆をからかうのはこれ位して、用は何かしら?」
一人で勝手に気を取り直すと、シルエルティはミナト達に用件を聞いて来る、その反応にミナトとユズリハは過日の意趣返しが含まれていた事に気付き、顔を見合わせ苦笑を浮かべ合う。
「この子のギルドへの登録と、職業を決めに来ました。手続きお願いします」
ミナトの言葉に笑顔で頷くと、シルエルティはキッカをつれてカウンターに向かう。二人もその後に続く
キッカとシルエルティが席に着くと、その脇でミナトとユズリハが様子を見守っている。
「それでは、まずどの職業に就くのか決めて頂きます。キッカさんはどの職業に就く事を希望しますか?」
「魔法使いを希望するぞ」
シルエルティの問い掛けに、元気一杯に答えるキッカの様子をミナト達は微笑ましそうに見つめている
「かしこまりました。職業は魔法使いですね、それではこれから魔法使いへの適性検査を行ないます」
「適性検査?」
「はい、ごく簡単なものです。こちらの水晶に手を乗せて意識を集中して下さい」
そう言うとシルエルティはカウンターの上に掌大の水晶を置いた。キッカはそれに手を軽く乗せると目を閉じる。すると水晶が青色に光る。それを確認するとシルエルティは集中しているキッカに水晶から手を放しても良いと告げる。
「うわっ!? なんんか光ってるぞ」
「これが貴女の属性の色です、魔法のスキルを修得する時の参考にして下さい」
「属性?」
キッカはシルエルティの言葉に首を傾げる。その様子に気付くとニコリと笑い説明を始める。
「EOTCの世界では魔法はスキルの延長線上にあります。ですから、誰にでも修得は可能です。ですが、それだけで誰しもが強い魔法を使える様になる訳ではないのです」
「へぇ~、そうだったんだ」
キッカより先にミナトが声を上げる。シルエルティはその反応に苦笑を浮かべると。今度はミナトにも聞こえる位の声で説明の続きを始める。
「EOTCの魔法と言う概念はスキルと言う話はさっきお話した通りですが、それではスキルを上げれば誰でも魔法を使いこなせる様になるかと言われれば、その答えは『いいえ』です。魔法使いという職業に就いて初めて魔法は真価を発揮する。これはもうEOTCでは当たり前の事だと思ってください」
「その理由を聞いても良いですか?」
「うん、おれも知りたいぞ!」
まるで仲の良い兄妹の様に、ほぼ同時に聞いて来る二人の姿にシルエルティは笑顔を浮べながら答える。
「簡単に言うと、職業補正があるからです。魔法使いは魔法を使いこなす素養があり、戦士は武器を使いこなし素養がある。他の職業も同じです。得意な分野での素養があり、その職業補正があるお陰で、同じ様なスキルを取っても、それぞれ職業によって個性が出てくるのです」
「なるほど。スキル制と言っても職業の適正次第なんですね……つまり近接物理攻撃職の僕が魔法のスキルを取っても、真価を発揮させる事が出来ないって訳ですね」
ミナトは難しそうな顔で頷きながらそう言う。シルエルティはその言葉に同意しつつも補足を加える。
「確かに職業的に適正の無いスキルを獲得したとしても十分に使いこなす事は難しいですが、魔法に関してだけで言えば、個人の属性適正に見合った魔法なら、魔法使いと遜色なく使いこなす事が可能なんですよ?」
「属性適正?」
ミナトが不思議そうに尋ねてくると、シルエルティは水晶を指し示しながら言葉を続ける。
「先程、キッカさんにして頂いたのが属性判定です。これで判明した属性はプレイヤー個人の加護属性となり、得意分野になります。その加護属性の魔法に関してだけは通常の魔法使いと遜色のない魔法が使用可能なので、ほぼ全てのプレイヤーは加護属性の魔法スキルだけは取得していますね」
シルエルティはミナトとキッカを見つめる。二人は説明を受けながら、頭の中を整理しているのか難しい顔で考え込んでいる。
「つまり、加護属性の魔法は持っていた方が良いって事ですよね?」
「そうですね、何事も選択肢が広がるのは悪い事ではありませんからね」
「分かりました、それで、その属性判定って、僕も受けさせて貰えるんでしょうか?」
ミナトはカウンターに座るシルエルティに尋ねると、笑顔で頷きながら水晶を手渡して来る。
「今、見て頂いた通り簡単ですから、試して見ます?」
その言葉にミナトは頷くと、受け取った水晶に精神を集中させていくと、水晶が灰色の光を放つ。
「ミナト君、もう良いですよ、二人の属性が分かりましたのでお教え致しますね。キッカさんの属性は氷、そしてミナト君の属性は精神です」
「氷?」
「精神?」
二人は自分の属性を聞くと、それぞれが意外そうに声を上げる。シルエルティは二人に向かい話し始める。
「EOTCには基本八属性と四系統魔法の十二の魔法スキルが存在します。地、水、火、風、氷、雷、光、闇の八属性、回復、精神、強化、召喚の四系統魔法です」
「その中の氷が、おれの属性で……」
「精神が僕の属性なんだ……」
「はい、キッカさんの氷属性は分かりやすいですね、氷柱で相手を攻撃したり、吹雪を起こしたり出来る魔法です、ミナト君の精神は、幻を見せたり、相手の精神力にダメージを与えたり出来る魔法です。使い手が極端に少ない系統でもありますね」
「氷かぁ……なんか悪役みたいだなぁ、火とか雷がカッコよさそうなのに」
キッカは自分の属性に若干不満があるのか面白く無さそうに、ミナトの持つ水晶を見つめる。
「でも、氷属性は比較的珍しい属性ですよ? 光や闇ほどレアではないですけど、魔法の特性で行動阻害も付く優秀な魔法も多い属性ですから」
「そうなの? へぇ~結構いいやつなんだぁ」
シルエルティの説明で不満顔からあっという間に機嫌を直すと、嬉しそうにミナトの袖を引っ張りながら言葉を紡ぐ。
「えへへっ、おれの魔法で皆人の事助けてやるから安心しろよな!」
「ありがとう、頼りにしてるよ。橘花」
仲良さそうに話す二人を、温かく見守っているシルエルティにユズリハは苦笑を浮かべると、手続きの続きを促す。
「エルティ、話が大分横道逸れてるよ、キッカのギルドへの登録をしていたんでしょう?」
「そうだったわね、それじゃあキッカさん、手続きに戻りますね……」
それからのシルエルティは、淀みなくキッカのギルドへの登録手続きを済ませていく。その様子をミナトとユズリハは見つめている。
「ねぇ、ユズリハさん」
「ん? 何かな?」
その問い掛けに、穏やかに答えるユズリハに、ミナトは疑問を投げかけた。
「魔法って……スキルってどうやって覚えるの? 僕の認識だと職業に就いたりすると覚えるって感覚なんだけど……違ってる?」
「間違ってはいないよ、でも、もっと簡単な方法があるよ。街のスキル屋に行けば買う事が出来る……でも、街に売ってるスキルってそんなに強い物がないんだよね」
ユズリハは苦笑を浮かべると、まだ手続きが終わりそうもない事を確認すると。ミナトを近くのテーブルに誘う。二人は小さな二人掛けのテーブルに座ると話の続きを始めた。
「えっと、スキルって買って覚えるの?」
「それも一つの方法だって事、スキルの習得には三つの方法があるのさ、一つは今言ったみたいに、スキル屋に売っている物を買って覚える。もう一つは正統派で、LVが上がった時や転職した時。モンスターからドロップなんかで獲得出来る物もある……そして最後の一つはスキルを作り出す事……」
「一つ目と二つ目は理解出来るけど、三つ目の作り出すって、どういう事?」
ミナトはユズリハの説明で唯一分からなかった事を再度質問した。ユズリハはその質問が来る事を予想していたのかにこりと笑うと説明を始める。
「言葉通りの意味、新しくスキルを作り出すのさ、概念的に可能とされているスキルを、幾つかのスキルを修得して、そのLVを上げる事や組み合わせる事によって、新しいスキルを作り出すって事が出来るらしいよ? ボクもそんなに詳しくは知らないけど、今まで無かったスキルをプレイヤーが作りだした事が過去何回かあったみたい」
「概念的にあるとされているスキル……それって複数回攻撃とかもそうなの?」
ミナトは自分が思い当たる新しいスキルの概念を例えにして、質問をさらに続ける。
その言葉にユズリハは驚いた様に頷くと問いかけに答えていく。
「ミナト君……新職業だけじゃなく未発見スキルにも興味があったなんて知らなかったよ、確かに複数回攻撃のスキルはEOTCが開始された当初からあると言われているスキルの一つだね。過去にかなりの数の人が見つけようと努力したみたいだけど……」
「うん、結局は見つけられなかったんでしょう? それはミラさんから聞いた……」
「ミラさん? また、女の子名前……ミナト君、いい加減にしないとボクも怒るよ? そんなにそこらじゅうの女の子にちょっかいをだして……」
ユズリハの瞳が危険な色をはらみ始めたのを見て、ミナトは慌てて弁解を始めた。
「ちょっと誤解だよ、ミラさんって言うのは、キャラクター作成の時に色々教えてくれた、システムAIの事だよ。ユズリハさんだって知ってるはずだよ? ミラージュって名前で妙に人間臭いAI」
「……あまり、憶えてないなぁ、キャラクター作成の時の音声案内AIの事だよね? うーん……やっぱり記憶にないなぁ……本当にAIなの、その子?」
「嘘じゃないよ、今の複数回攻撃スキルの話をしてくれたのも、そのAIだよ」
ミナトの言葉に嘘はないと感じたユズリハは納得すると、鋭くした目を穏やかなものに戻すと、話の続きを再開した。
「そのAIが言った事に間違いないよ、複数回攻撃スキルは未だに見つかってない、他にも幾つかそんな風に幻のスキルと言われているものもあるけどね……つまりは単純にスキルを覚えると言っても、多種多様な方法があって、それなりのレアスキルだと、そう簡単には修得は出来ないって事だね」
「何事も簡単にはいかないって事か……うん、良く分かったよ。取り合えず、今在るスキルを大事に育てていくよ」
「それが良いかもね、でも、加護属性の魔法だけは覚えておくと良いよ。何かと役に立つからね、そうだ! これからキッカの魔法スキルを修得に行くんだから、ミナト君も一緒に修得すれば良いよ」
ユズリハがこれは良いアイディアと言わんばかりの笑顔でミナトに言う、その言葉にミナトは戸惑いながらも頷いた。
「ミナト君にユズリハ、キッカさんの登録無事に済みましたよ。あとはスキルの設定や装備の事などは、お二人にお任せして大丈夫よね」
「うん、ありがとうエルティ。そこら辺は、ボク達で面倒を見るから大丈夫だよ」
「色々聞けて、僕も勉強になりました」
「ありがとうございました。お姉さん!」
三人が揃って礼を言うと、シルエルティは微笑ましそうに目を細めながらミナト達に告げる。
「貴方達きっと良いPTになるわ。私が保証してあげる!」
シルエルティはそう力強く言うと、三人に向かって親指を立てる、
それに答えるように、ミナト、ユズリハ、キッカも親指を立てて笑顔で応えた。




