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伝説の勇者にはなりたくねぇ!  作者: のな
完結したらヤバい!編
60/61

Lv.60 そして・・・・・へ

 それからの話をしよう。


 


 世界が光に包まれた後、俺は3日3晩うなされ、高熱が続き、目が覚めると都合の悪いことは記憶から消えていた。(と思い込むことにした)

 

 何やら幻の不気味な小人を見た気がするが、幻で夢だったと思う。ていうか、夢に間違いない!

 

 とにかく、あの後俺は受け入れた大きすぎる力を使い切って倒れ、目が覚めた時には、すでに王都の復興作業が始まっていた。

 それも、弟の手で…





「えぇと、何やってんだ?」


 宿屋から仲間がいるという城の跡地に来てみれば、なぜか城の建設を人間と敵だったはずの魔族が共同で行っていた。


 ひょっとして魔族の残党を捕えて操っているのかと思えばそうでもなく、では?と尋ねれば、メルニア婆さんが連れてきたのは意外な人物だった。


「魔王じゃ」

 

「いや、今回は面倒をかけた。すまんな伝説の勇者よ」


 ごつい図体でぺこりと謝るのは、かつての仲間ゴルベーザである。

 ただ、その耳はつんと尖り、髪色は栗毛から黒へ、緑の瞳は赤い色へと変化し、容姿も、熱血なおっさんから、 黙っていれば魅惑的な雰囲気を持つほんの少し大人の危うい雰囲気を持ったダンディなオヤジへと変化していた。


 まぁ、容姿やらなんやらより…


「魔王さまぁん、早くお家に帰りましょうよぉ」


「あのお馬鹿ちゃんが魔王様を封印なんてするから探し回っちゃった」


 ゴルベーザを取り巻き、いちゃこらいちゃこらする女達に俺は驚いたが… 

 

 話を聞けば、ゴルベーザが封印される前からいた魔王の奥さん達らしい。

 

「勇者様、ありがとうね。おかげで旦那様が戻ってきたわ」


 俺の力のおかげだというから、なんだか腹が立つのだが…


「しかし伝説の勇者と言うのはすごいな! あの一瞬であいつを消し去り、平和を取り戻した! もちろん私は迷惑をかけた一端を握っているので復興に協力は惜しまんよ」


 ということで現在魔族と人間が協力して城の建て直しや、町の復興を手伝っているらしい。

 いっそ心労で禿げるくらい頑張ってくれと思うのは周りで働く男達の総意だろう。


 で、次はと他を探せば、ロマもメルニア婆さんと協力して蔦を操り、木の根を使い、足場を作ったり物を運んだりと大忙しのようだ。

 メルニア婆さんは魔力増幅を使い、魔法を使える魔道士達を補助している。


 これら全ての采配は、生き残った王太子と、なぜか俺の弟優斗である。




「何がどうなってるんだ?」


 小さな木のテーブルに図面やら資料やらを広げ、王太子と優斗がああでもないこうでもないと話し合っているその背に声をかければ、優斗と王太子が振り返ると、王太子は俺を見るなり手の甲に手を乗せ、胸の前まで持ち上げ、礼をした。


「伝説の勇者殿。貴殿の働きにより我が国は救われた。城は無いが、王として貴殿の働きに感謝を述べたい。ありがとう」


 なんだか堅苦しい挨拶に俺は「別に何もしてないし」と正直に答え、優斗を見やる。


「で、何がどうなってお前が協力を?」


 俺より年上の弟は頷くと口早に語った。


 曰く


 魔王は光に押しやられて消滅。魔族の本性は闇なので、そのうちまた同じ姿で現れるだろうと現魔王ゴルベーザが言ったのだそうだ。

 それならば簡単には壊れぬ国を作ろうということになり、俺の元を訪れた魔王を優斗が捕まえたらしい(理論で攻めて降参させたようだ)。

 

 優斗がその時魔王に告げたのは、先代魔王が負けたことでこの悲劇が起きたのだから資金その他もろもろ全部出せ、というある意味お前はやくざか?と言いたくなるような条件だ。

 

「夢だと思っていたので強気だっただけです」


 ちなみにその台詞を言ったのは何年も後のことだ。それまで彼はこの世界を長い夢だと思い続けることになる。

 

 そんな感じで復興が始まったが、国の中枢を担っていた者達の多くが亡くなったため、王太子はほとんどの政務を一人でこなさねばならなくなった。そこへ、政治学を学んだことのある優斗がテキパキと指導を入れたことにより、現在の形となったらしい。


 3日過ぎるといろいろ起きるんだなぁ…とぼんやり思ってしまう俺だった。


「あ、ちなみに兄さんは軍事顧問ね」


「ふ~ん・・・・はぁ!?」


 なんじゃそりゃと優斗を見れば、彼はサクサクと答える。


「勇者なんて名前ばかりのニートを俺が許すわけないでしょう。こうしてコネができたことですし、兄さんにはきっちり働いて安定収入を得てもらいますよ」


 ちゃっかりしてる…。


 ちなみに「勇者なんて名前ばかり」の所で周りの男達がえらくショックを受けていたんだが…ひょっとして勇者じゃなかろうか…。


 すっかり土方のにーちゃんと化した男達に心でスマンと呟き、俺はこの日、王都の軍事顧問と言う座についた。


 まさにタナボタ!













 数十年後



 さらに先の話をしよう。


 まず、復興後の王都は目覚ましい発展を遂げた。

 現実に立ち返ったユートにより新王はビシバシ鍛えられ、物流に力を入れ、さらには魔族と交流、元勇者を騎士団に入団させ、治安をよくするなど、様々な改革がなされていった。


 まぁ、その間隣国が責めてきたり、病気が流行ったり、魔物が大暴れしたりと騒がしかったが、それらは俺の力で解決した。


 チートってすげぇ・・・


 だが、チートで防げなかったのは女問題だ。

 

 ある程度モテる能力は抑えることができたものの、それでもある程度だけで、年々美形効果が現れる俺に女性が群がり、ウハウハどころか血を見る大惨事となりかけたのだ。

 それも数回…


「あんな女達は特殊ですよっ」


 俺より先に結婚しやがったユートは幸せいっぱいで、子供まで出来て取り成すように俺にそう告げたが、そんなユートもある日奥さんに逃げられた。

 と言うか、浮気を疑われてただ今別居中。


 家を飛び出て、かつて俺がゴメスに鍛えられた最初の村、あのニドス村近くに逃げたユートの妻の名は・・・


 驚くなかれロマという。



 現在では魔女と呼ばれる20代ぐらいのナイスバディな別嬪さんだ。


「じ、じ、実家に帰らせてもらうわ~!」


 が最近の口癖だが、森は実家じゃねぇだろと俺は言いたい。



 メルニア婆さんはと言えば、現在神殿を復興中。

 大巫女と呼ばれ、世界を巡りつつ布教しているらしいが、まともな宗教なのかどうなのか謎だ。

 風の噂によれば、その力によってたくさんの奇跡が起きているらしい。

 

 ついでになぜか信者は高いツボを買っているらしい…


 ぼったくり商法で稼いでいるのが目に見える・・・・。



 ゴルベーザは言うまでもなく今も魔王だ。

 時々家に遊びに来て


「今度274人目の妻との結婚式だ! ぜひ来てくれ!」


と来るたび数字が変わるが、大抵同じことを叫んで帰っていくので、この間お祝いに隕石を奴の城に落としてやった。



 グウェンは勇者の力を失った後、驚くことにアマゾネスの妻の元に戻り、マイホームパパになった。

 これが一番驚きだったな。

 今は4人の妻と12人の子供がいるそうで…


「今度娘を嫁にしないか?」


と魔王に迫られて戦いが勃発していた。


 13人目の子供が生まれるそうなので、精をつけろと凶悪な竜を生で送っておいた。

 多少手こずるだろうがグウェンなら美味しく料理するだろう。やはり竜肉は新鮮なのがいいからな。


 そして俺だが・・・・






「あ~、これイイと思うんだよねぇ~」


 自分の屋敷で一人、ステテコに腹巻を付け、でろんっと床に転がる…


 最近楽を覚えた。


 人生長く生きるといろんなものがどうでもよくなってきて、ただひたすらにぼうっとしていたいと思うようになった。

 

 時々館を訪れるファンだという女性達の押しかけもいい加減うんざりで、最近では気持ち悪いおっさん姿で撃退している。


「おいちゃん最高だねぇ~」


 このまま極めてみようかな、と思うわけだ。


 そんなわけで…




「伝説の勇者様! 北の山に悪しき魔物が! どうかお力をお貸しください!」


 また今日も伝説の勇者(・・・・・)を頼る人がやってきた…


 玄関をどんどこ叩かれ、俺は不機嫌に玄関に顔を出すと。


「めんどくさ~い」


 扉を閉めた。


 あとで魔物には隕石でも落としておくよ…。




 そんなわけで!(どんなわけで?)


 俺は伝説の勇者にはなりたくねぇ! のだ。



「伝説のおいちゃんにならなってもいいよ~ん」




 こうして、伝説のおいちゃんは生まれたのである…。



そして伝説のおいちゃんへ・・・・


とりあえずの完結です!

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