LV.47 主役交代か?
「廊下の足場悪!」
黒い竜を倒して城の中に入ったが、所々天井からは空が見えているし、足元には瓦礫やら見てはいけないものやらが転がっていてなかなか進むに進めない状態だ。
しかし、先程からちらほらと小さなぬいぐるみが城内部に駆け込む姿が確認され、俺達の先を進んで道を塞ぐようながれきを撤去してくれているので、ましだと思うことにする。
黙々と走る俺達の先頭は現在ロマが走っている。
というのも、あのなぜか話す不気味過ぎる複製達を消し、プロポーズの誤解を必死で解いたところで、ロマが一言
「女心を弄ぶなんて最低よ!」
と叫んで怒り出したため、現在さわらぬ神に祟りなしという状態で、俺達は複製についても話し合うことができず、触れたら切れそうなロマの後ろ黙々とついて行っているのだ。
まぁ、沈黙に耐えきれず何かしら一言呟いたりはしているが、状況は変わっていない。
「・・・そういえば巫女はどうした?」
グウェンがぽつりとつぶやき、俺とゴルベーザは首を傾げる。
巫女? 巫女ってなんだっけ…?
しばし考える事数十秒。ようやくメルニア婆さんのことだと思い出してポンッと手を叩く。
「そういえばいつの間にかいなかったが、ゴルベーザ、お前連れていたよな? どこやった?」
どこやったって聞き方はちょっと…かも知れないが、あのぎっくり腰のプルプル時価を思い出すとついそう告げてしまう。
「それが、大掛かりな魔法を使う準備をするって飛び出していった。あの着ぐるみを着ていれば魔力が上がるからって」
嫌な予感しかしないよな・・・・
しかし、やはり着ぐるみは魔力が上がるらしい。
ということは、やはり複製はこの着ぐるみの魔力補正で話せるようになったって言うことか。
ん?・・・・・それって、普段も魔力が上昇したら複製が好き勝手話すってことか!?
微妙にショックを受けつつ、顔を上げると、目の前にはどこからか調達した血の滴る鉄の棘付きハンマーを手にしたロマが仁王立ちで立っていた。
俺達三人は思わずある程度の距離を開けてピタリと立ち止まる。
「ロ、ロマ? そのハンマーはどこで手に入れたんだ?」
ビジュアルがかなり怖い…。
「その辺よ。それより急ぎましょう。人間の気配と共に魔族の気配が濃いのよ」
ロマが再び先陣切って走り出すと、俺達も慌ててついていく。
その途中、ロマが仁王立ちして立っていた横で、ぬいぐるみがやられたばかりのゴブリンを引きずっていたのは見なかったことにした。
そうして城を走り抜けているうちに、別方向からも着ぐるみ達がやってくる。
「外の敵は粗方やっつけた」
・・・・誰か判別は付かないが、冒険者ギルドの一人が着ぐるみ姿でそう言い、あとは城の中だけだと意気込む。
そんな中、俺はふと首を傾げて前方に声をかけた。
「ロマ…もしかして道に迷ってないか?」
茶色のコグマは物騒なハンマーを持ったまま一瞬動きを止め、しかし、目の前を指さした。
「ま、迷ってないわよ! ほら! 広間だわ!」
・・・・迷ってたな・・・・でなければ町の敵を一掃しているはずの冒険者が追い付くはずないからな。
とはいえ、偶然にも目の前に扉の開け放たれた広間が見えていたので、そこは突っ込まないで置いてやろう。城の中も所々道塞がってたことだし。うん。
決してコグマの能力が怖いわけではないぞ!
なんだかんだと心の中で言い訳しつつ、チラリと広間を確認したその時、俺が見たのは玉座に面倒そうに座る男と、その目の前で捕らわれ、顔を蒼白にする金髪碧眼の青年、それから…
子供に向けて剣が振り上げられるのが見えた。
まずい!間に会うか!?
ぐっと足に力を入れた瞬間…
コグマが誰よりも早く飛び出し、ハンマーを持っているというのに、剣を振り上げた男に体当たりしたのだった。
ハンマーの使い道は…??
床に降り立つロマコグマを見て安堵の息を吐きつつ呟く。
「主役交代の日は近いよな…」
俺は呟くと、広間へと一歩踏みこんだ。
しかし・・・・・
ぎゅむっっ
味方全員が同時に踏み込んだため、入り口で全員が詰まり
「ぐはっ」
「うおっ」
「きゃあっ」
見事に全員すっ転ぶのだった・・・。




