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Lv. 38 勝利

 一瞬、アマゾネスの向こう側に不満そうなキモオヤジの顔を見たが、次の瞬間には複製達は消えていた。


 一体何が?


 ていうか、俺に、今、何が、起きてんだー!


「ふむぐぐぐぐぐ!」


 集団で襲いかかってきたアマゾネス達は、我先にと俺に覆いかぶさり、目の前にいたアマゾネスには唇を奪われ口腔を蹂躙されていた。


 いや、まぁ、経験あるし、男だし、それぐらい気にはしないが…こんな大勢の前でイタスことじゃないだろ!?


 なんて呑気に考えている間に、他のアマゾネスが俺の服に手をかけ、剥き始める。

 いやいや、さすがにそれはおかしい!

 

 暴れて抵抗すれば、今度は他のアマゾネスに両手両足を掴まれる。

 

 痴漢を取り押さえようとしていたのに痴漢されてるんですけど!?


「アキに何してるのー!」


 ロマの叫び声に木の根や蔦が溢れだし、会場内の敵味方観客すべて無視して襲いかかる。

 まさに暴走というやつだ。


 だが、俺はアマゾネスから解放され、外されたベルトと、緩んだズボンのウエスト辺りを掴んで仲間の元に駆け寄った。


 ロマの暴走する力は、暴走していても契約主である俺には襲い掛からないので、仲間に寄れば彼等も攻撃されずに済んで全員がほっと息をつく。


「一体何が起きたんだ?」


 ゴルベーザが息を整えつつ尋ねてくるが、俺にもさっぱりで首を傾げるばかりだ。

 キモいおっさんを止めに走っていたはずなのに、俺が襲われるとはこれいかに?…いや、まぁ、キモいおっさんと俺は同じものだから襲われるのはありとしても、痴漢返しはないだろ…


 服の乱れを直し、ひとまずほっと息を吐きつつ悩む。


「あれじゃな」


 メルニア婆さんが戦闘をロマに任せて杖を突きつつ傍に寄ってきた。


「あれ?」


「ほれ、例の勇者じゃ。モテると言うておったじゃろう」


 そう言えばそんなこと言ってたな…


「て、いまのがそれかー!?」


 叫ぶ俺に、メルニア婆さんが「おそらく」と真剣に頷いた。

 モテるって言うか、そういう次元とは違う感じだったぞ!

 

 襲われる? もしくは喰われる?

 とにかくそんな感じだ。


 ある意味ウハウハな能力だが、あの勢いの後では嫌な予感しかしない。

 

 そこまで考えて俺ははっと気が付いた。

 そういえば、この闘技大会で優勝した場合、賞金は手に入るが、余計なものが付いてくるのではないだろうか!? そこでこの能力が発揮されたら俺はどうなる!?


「ロマ! ちょっとまっ」




 どぉぉぉぉぉぉん!


 


 木の根の鞭が全てを薙ぎ払った。


「た~・・・・・」


 俺は手を伸ばし、止めようとした体勢のまま、がっくしと項垂れた。


「勝者! 伝説の勇者とその仲間たち~!」


 観客席の中から、這う這うの体で現れた審判が声を張り上げた。

 

 ・・・


 だれだ、そんな変な名前で登録したのは…。

 

 二重で項垂れる俺に、追い打ちをかけるように、観客席のアマゾネス達の黄色い悲鳴が上がったのだった…。



________________



 翌朝・・・・・



「いやぁ~、ハッハッハッハッ」


 上機嫌で昼頃に起き出してきたゴルベーザは、頭をカキカキむすっと頬を膨らませて昼食をとっているロマに笑いかけるしかなかった。


 ゴルベーザの顔はつやつやしており、かなりいい思いをしたようである。


「よもや一人に一人ずつ嫁が付くとはのぅ」


「アキの妻は私だもの」


 ロマがぼそりと呟くと、ゴルベーザがよしよしとロマの頭を撫でる。


「グウェンとアキは?」


 ゴルベーザがきょろきょろと宿屋の食堂を見回すが、まだ姿がない。


「グウェンはのぅ、ひょっとしたら…気絶しておらんか?」


 昨日、勝者なのだから嫁を選べと強要され、仕方なく男三人は適当に指名した。だが、アキやゴルベーザはともかく、グウェンは接触恐怖症だ。嫁など貰っても触れられないと自ら申告したが、嫁に指名された娘は嬉々として強引にグウェンを宿の寝室に連れ去ったのだ。


 昨夜はグウェンの悲鳴が響いていた…

 

 全員が同情する目になっていると、そのグウェンが、可愛らしい女性を腕に纏わりつかせた姿で…しかも冑無しで現れた!


「おはよう皆。アキはまだか?」


 にこやかに爽やかな顔で手を上げる彼の姿に、全員が心の声を同じにして叫ぶ…


 お前は誰だー!




 グウェンは恐怖を克服させられた!


 露出が上がった! 美形が上がった! 


 無我の境地を手に入れた!


 記憶を少し失った…

 

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