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Lv.25 登場!

「なんでん昼飯食ってんだよん」


「腹がん減ったのじゃん」


 メルニア婆さんは即答でどこからか取り出したバスケットの中からサンドイッチを取り出すと、俺の口にバスっと突っ込んだ。


「ぐふぅんっ」


 …さすが呪い。ダメージにも『ん』が付くのか。

 ていうか窒息するわ!


「げほんっげふぉんっ、ごほっん」


 サンドイッチを口から外して咳き込むと、ロマが甲斐甲斐しくお茶を差し出してくれる。

 これで大人ならいい嫁になるんだけどなぁ。幼女じゃあせいぜい幼女スキル発動するくらいだ。嫁にはできん。実に残念だ。


「ロマん、ありがとなん」


「癒しもかけましょうかん?」


 そこまではしなくても大丈夫だと首を横に振り、仕方なく俺もランチに加わる。

 今食べないと絶対後で食べられなくなりそうな雰囲気だし、腹ペコの旅は体に悪いしきついからな。

 たぶん戦闘も待っているだろうし?


『貴様ら…我を無視するとは何たる無礼か』


 おぉ、竜を見ながらのピクニックランチというのも乙なものだ。

 ここに桜とビールがあれば最高なのになぁ。


 ・・・・・


 ハッ いかん! 俺までこの奇妙な人間感覚に毒されている!?


 軽いショックを受けつつ、竜が引っ込むに引っ込めない状況で、俺達はなぜかランチを食べ尽くすという暴挙に出たのだった。(これを暴挙と言わずしてなんという!)


____________


「さぁん、腹ごしらえもん済んだことだしん。呪いを解く方法をん考えるとしようかのうん」


 どっこいしょっと腰を上げるメルニア婆さんに、全員の視線が「え?」と集まる。

 今、呪いを解く方法を考えると言ったろうか?


「婆さん、呪いんとけるのかん?」


 メルニア婆さんは杖をぶんと振り、強く地面をつくと、無い胸を逸らす。


「わしはん巫女じゃん」


 巫女じゃんて言われても…

 俺のみならず、全員の視線がメルニア婆さんの実力をものすごく疑った視線を向ける。

 

 実績として、洞窟に結界を張ったり、簡単な補助魔法で身体能力を向上させたり、あぁ、あと魔物避けの結界を張ったのは見たな。

 実力…あるのか?


「一時的にならん、呪いも解けるぞん」


 婆さんはぶんっと頼んでもいないのに杖を振り回し、俺達パーティーの頭をごつんごつんと順に杖で叩いていった。

 

「なにするんっ!」


「だまっとれいん!」


 ゴルベーザの抗議を一蹴し、婆さんは杖を大きく振りかぶって、そのまま何やらぶつぶつ呟いたかと思うと、勢いよく地面を蹴って飛び上がった。


「きえぇぇぇぇぇいん!」


 呪いのせいで微妙にしまらない気合を入れ、婆さんは竜の頭に杖を思いっきり振り下ろしたのだ。


 ぱかーん!


 硬い物同士がぶつかる音が響き、赤竜は痛みはなくとも殴られて不快に思ったのか、鼓膜を破りかねない咆哮をあげた。


 グオォォォォォォォォん!


 俺達は咄嗟に耳を塞いでやり過ごす。


 ん?

 

「今の…」


 あれ? 俺の言葉に『ん』が付いてない。


「まぁ!、見直したわお婆ちゃん。人間にしてはすごいじゃないのっ!」


 やはりロマの言葉にも『ん』はなく、メルニア婆さんは褒められてどや顔をしている。


「すごいな、さすがは巫女だ。まさか呪いを解くとは」

 

 グウェンも感心しきりだ。

 確かにすごいのだが、なんか気になるんだよな。


 俺はちらりと赤竜を見上げると、赤竜は鳩が豆鉄砲を喰らったかのような顔をして固まっていた。


 あ~、たぶん、間違いなく婆さんが原因だろうなぁ…


「婆さん、ちなみに今のは?」


 竜を見上げながら尋ねれば、メルニア婆さんが胸を張ったままで今(おこな)ったことの詳細を明かした。


「皆が受けた呪いを全てこの竜に移したのじゃ!」


 やっぱり…

 がっくりと肩を落とした俺は、わなわなと震えだす竜を見て、一応の忠告を入れておく。


「元々呪いを広めたのは俺達じゃないからな」


『問答…』


 やはりこの次は『無用』と続くと構えて、俺は対赤竜のために一歩後ろへ下がり、腰の剣に手をかけた。すると、ロマがはっとして俺の横に立つ。


「アキ! 勇者が来たわ!」


 こんな時にか!

 

 ロマの言うとおり、何者かがガサッと茂みから飛び出て、剣を構える。


「ようやく現れたなレッドドラゴン! 呪いを蔓延させて待ったかいがあったというもの! いざ!勝負!」


 あぁ、タイミング悪すぎ…

 チラリと見やれば、赤竜は大きく口を開けて叫んだ。


『貴様が原因か~ん!』


 ゴォォォォォ! と音を立て、俺達の横を巨大な火柱が駆け抜けたのだった。

 


 ・・・・・この場合、俺達はどっちと戦えばいいんだろうな? 


 

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