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伝説の勇者にはなりたくねぇ!  作者: のな
トリップ編
11/61

Lv.11 魔法発動!

 ロマに倒された謎の緑の騎士グウェンは、目が覚めるまでそのままにされることになり(ひでぇっ)、とりあえず俺達は朝食を兼ねた昼食を始めた。


 その間にもロマによる魔法講義が行われ、村の男達の回復を手伝うことになったのだが。


「俺の魔法の発動はイメージだよな?」


「わしにも詳しいことはわからんがそう思うならそうじゃろう」


 メルニア婆さんに確認をとるが、想像(創造)魔法というのは世に知られていない魔法らしく、それを持っている者が伝説の勇者と呼ばれるだけで、これと言った何かがあるとか、そういったことを知っている者はいないらしい。

 婆さんの言なのでかなり怪しいが。

 

 ついでに、勇者って言うのはその魔法がつかえる人って言う意味だとそうとっておくことにする。今は…いつかはちゃんと否定するけどなっ。


「精霊の魔法もほとんどがイメージよ。魔法はどれくらい詳細にイメージがとれるかで威力や効果が変わるものなの。で、そのイメージを描きながら呪文を唱えるのが一般的な魔法。人間の多くが使うのはこの方法ね。でも、中には呪文を必要とせず発動できる人達もいるわ」


 その辺りはたぶんいろんなファンタジー小説なんかと同じで、無詠唱は高位魔法とかそういわれているようだ。 


 俺、昔中二病を患っていてよかったよ。何の知識も無かったらもっと苦労してたな…。


「呪文を知っていれば俺でもこの世界の魔法が使えるってことかな」


「かもしれないわね。じゃあためしに使ってみたらどうかしら。リ・フレジレーターよ」


 リフレジレーター? refrigerator…

 英語で冷蔵庫って意味じゃ…


「ちなみにその効果は?」


 想像するに保存の魔法とか、少し外れても氷系の魔法とか、そんな気がするんだが。


「回復魔法よ。指先を切った時ぐらいに使うわね」


 冷蔵庫という名の回復魔法ってどんなんだ!?

 俺の異世界翻訳機能は何処かポンコツなんだろうか。

 

 納得いかずに思わずうんうん唸っていると、後ろからメルニア婆さんに軽く杖で小突かれた。


「論より証拠というじゃろう。使ってみよ」


 それを言うなら案ずるより産むが(やす)しだろうが…。

 …まぁ、確かに悩んでいてもしょうがないか。

 冷蔵庫…冷蔵庫…


「リ・フレジレータ~」


 遠慮がちに小さな声でつぶやくと、俺の掌から冷たい風がごぉっと吹き出し、俺を中心に外側へと一瞬で駆け抜けていった。


 い、今、俺は小さい声で言ったよな? なんでこんな威力あるんだ。



「さ、さ、さむぅ!」


 あ、緑の騎士グウェンが目を覚ましたようだ。

 鎧姿でカタカタ震えながら起き上り、何が起きたかとばかりに辺りをきょろきょろ見回している。顔は兜で見えないので表情はよくわからない。


「どうして冷気が出るのかしら。癒し効果は普通より高めってところだったけど」


 ちゃんと発動したらしい。

 目に見えて誰かのケガが治ったとか、そういうことがないのでよくわからないが、結果は威力がそこそこ高めで、冷気のオプション付き。この冷気は十中八九俺がイメージした冷蔵庫のせいだろう。


 冷蔵庫で癒し効果があるとしたら、暖房器具だとどうなるんだ?


「ロマ、ひょっとしてヒーターって魔法も」


「きゃあああああ!」


 突然ロマが悲鳴を上げ、俺がぎょっとした時には遅かった。


 俺の手の周りに炎が集まりだし、グルグルと腕の周りを駆けながら勢いを増していく。

 まさかと思うが、これがヒーターの魔法とかいうんじゃ…


 ちらっと講師役のロマを見れば、すでにメルニア婆さんと共に村人達を連れて俺から随分離れたところにいた。

 うぉいっ!見捨てるなっ!


「ちょっ、これは!?」


 彼等に助けを求める頃には炎は俺の腕から体へと範囲を変え、やがて俺の周りにリングを作ってグルグルと回り始める。その大きさはフラフープ大から徐々に大きく広がっていき、俺はぎょっと目を剥いた。

 このままだと大火事になる!


 ここまでくればヒーターの魔法が攻撃魔法だということぐらい俺にだってわかる。だとすれば、何かにぶつけて終わらせてしまうのが得策だが、いかんせん火の魔法だ。村やその周りは木ばかり。ぶつけて大火事は避けたいので…


 俺は頭上を見上げた。

 当てる対象物はないが、空に放つことぐらいできるだろ。てかやるしかねぇだろ、俺!

 

 頭上で両手を重ね、そこに炎が集中するようイメージし、空へと放った。


 

 ゴォォォォォォォッ!


 足元から炎がうねりを上げて掌へと集まり、空へと大きな火柱を立てた。

 その熱量と炎の音に驚いた鳥達が森から一気に飛び立ち、一瞬騒然となる。

 だが、全ての炎が俺の手から離れると、一気にその場は静寂に支配され、呆然としていた俺も、ようやくほっと息を吐くことができた。


「気を付けないと危ないな」


 魔法はすごいが、しっかり学ばなければ危険ということがよぉくわかった。

 空をもう一度仰いだ後、俺はロマ達の方へ振り返り目を丸くする。


 そこには、一様にぽかんと口を開けて目を丸くする村人と、その他3名(ロマ、メルニア婆さん、グウェン)がいた。






 後で知ったんだが、ヒーターという魔法は、どうやら大魔法に区分される魔法だったようだ。

 

 この世界で適当に英語を言うのは危険!てことだな…。

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