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天使が舞い降りたPart2





青春の香りが吹き出す学校の屋上。

それとは全く違う、空気をピンと張り詰めるような雰囲気を醸し出す少女がいた。見た目から高校生ではない。中学生位か。

隣には謎の形をした生き物。

少女は、尋ねた。


「……ここに、きそうなの?」

「あぁ、今夜には来るね」

「信じるわよ。……頼むわ、アーク」


少女の瞳はまっすぐ生き物を見つめていた。

そのアークという生き物も。

二人の信頼関係は伊達ではない。


「…お前もな。……行くかイキシア」




二つの陰が、一つになった。











月が綺麗だ。

別にこんな時間まで体育しているわけではない。無論学校も終わっている。

自分が休んでいた間には全国模試があったのだ。

もともとやりたくもなかったことに、こんなに時間を使ってしまっては、嫌になる。英語なんて真っ白だった。



「はぁ……」


帰ったら見たかった特番は終わってしまっている。

あまり疲れてはいないが、夕飯を食べたらとっとと眠ろう。




学校へ行って、家に帰って、眠って、起きて。

いつも通りの日常。

今日はまっすぐ帰るだけ。



そこに、ズン、という鈍い音。

地が割れるような、轟音が。



圭斗の日常は、ここで崩れ去る。






「ん?なに……………」


圭斗は、驚愕した。

自分の真後ろに、大きい「何か」が居る!

それは月に照らされ、黒い陰となり圭斗から月光を奪いさった。


「なんだ…!?これ……っ」


得体のしれない獣。

地を割ったのもこいつの仕業だ。

大きな爪がそれを物語る。

見た目は大きな猫のようだ。だが色から判断して黒豹にも見えた。消して黒豹のサイズではないが。

熊並だ。


そのでかい黒豹は、ぐるりと辺りを見回し、こちらに気付いてしまった。

硬直する。

逃げたくても、足が動かない。動いてくれない!



(…喰われる!?)



「逃げて!」




突如聞こえた声と共に獣の身体も硬直する。

「グルルル……!」

苦しそうなうめき声をあげ、固まった身体を動かそうともがいているようにも思えた。



「大丈夫!?」

自分も全く動けずに、泡が吹きこぼれそうだ。

声の主は、女の子だ。

(……天使の羽…?)

自分と同世代くらいの、天使の羽付き。

獣はまだピッタリと固まったままだ。


「君が……止めたの?」

「うん。そんなことはいいから、早く逃げよう!?あいつの動きを止めれるのは、あと30秒よ!!」「え!?」


なんとか足を立たせた俺は、女の子の手に引かれて走った。必死で走った。

かっこわりぃ……。














「なんなんだよ…あいつ……」


結構走った…。

大量には自信のある方だが、さすがに疲れた…。

女の子の方は、くすくす笑って「大丈夫ー?」なんて言っている。悔しい…

まあ、先程の行動から見ても、人間ではないんだろうけど。

天使?はよくよく見ると美人だ。可愛い。


「……てか、君は誰?」

「私?」

女の子は、微笑んでいった。

「私はアザミ。よろしく。」

「あぁ…よろしく。えと、俺は…」

「直原圭斗君、でしょ?」

「えっ?」

何故、俺の名前を?

とは聞かなかった。天使なら、超能力だって使えるかもしれないし。

天使とは、もちろん初対面だ。

「……私のこと、天使だと思ってたらごめんね。」

「えっ、違うの?」

彼女の背中で真っ白に輝く翼は、漫画でも芸術的な絵画でもよく見る「天使」の羽だ。


「私は、魔法使いなんだ。天使じゃないの。」




月光が俺達二人を照らす。

その陰で俺達を見ている者がいるとも知らずに。



これが、俺とアザミとの出会いだった。


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