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プロローグ
もしも、あなたが誰かの頭の中を覗けたとしたら
1番知りたいことはなんですか?
恋愛事情?
仕事のノウハウ?
それとも誰にも見られたくない記憶?
そんな潜在意識の中を巡る少し恐ろしくて、痛くて、
愛おしい物語の終着点をぜひその目でお楽しみください
世界は、思っていたより静かだった。
うるさいのは、たぶん自分の中にいるあいつだけだ。
何かを殺してきた感覚は、ずっと前からあった。
でも、それが「いつから」なのかは思い出せない。
気づいた時には、もう当たり前みたいにその状態だった。
自分は正しい選択をしてきたはずだ。
少なくとも、そう信じようとはしてきた。
笑うべきところで笑って、
期待されている役を演じて、
それなりに、うまくやってきたつもりだった。
それでも、ときどき思う。
――このまま進んでいくと、どこに辿り着くんだろう。
夜になると、輪郭のはっきりしない感情が浮かんでくる。
名前をつけるには大きすぎて、
無視するには近すぎる。
逃げたいわけじゃない。
消えたいとも、たぶん少し違う。
ただ、どこか「違う場所」がある気がしている。
もし、そこに行けたなら。
今より息がしやすくて、
今より自分でいられる場所があるのだろうか。




