表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔力0の訳あり王女、最狂につき取り扱い注意  作者: やきいもほくほく
四章 悪女の罠

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

43/50

43 アナベルside7


シャルレーヌのふざけた態度を見て、思わず声が漏れる。

こんなところで妄言を言い出したシャルレーヌに、驚きを通り越して呆れていた。

何を企んでいるかと警戒していたがそうではないようだ。


(ただ余裕ぶっていただけ? そうよ、そうに決まっているわ!)


アナベルの味方をしてくれた侍女たちにはたっぷりと褒美を与えなければならない。

そんなことを考えるとほどにすっかりと心に余裕が生まれていた。

それに侍女たちがハンカチを持ち、アナベルの首を押さえる。

どうやら先ほどのナイフの先がアナベルの皮膚を少しだけ裂いたようだ。



「アナベル様、大丈夫でしょうか?」


「すぐに手当ていたしましょう」


「……あら、大変だわ!」



侍女たちが焦ったような声を出す。

このままでいけばシャルレーヌの目障りな侍女や侍従は消えて味方がいなくなる。

シャルレーヌは頬がほんのりと赤くなっているだけ。

しかしこの刃物でやられた傷はすぐに消えはしない。

アナベルがシャルレーヌを叩いたという証言も証拠もない。

この状況でどうしようというのか。



「フッ……アハハハッ!」



アナベルは思わず噴き出すように笑っていた。

しかしシャルレーヌは微笑みを崩さない。



「リリー」



シャルレーヌは何故かリリーの名前を呼んだ。

今まで震えて動けなかった彼女は、名前を呼ばれたことで大きく肩を揺らした。

彼女はアナベルの元侍女だった。

そして眠れなかったという意味のわからない理由で裏切った張本人である。


(まさかこの子に証言してもらおうというの? あははっ、裏切り者を信じる奴なんてこの帝国にはいないもの)


何を言っても彼女たちの立場が覆ることはない。そう確信していた。



「そろそろカーテンを開けてくださる?」


「は、はい!」


「……カーテン?」



暗闇に目が慣れてきて、なんとなく互いの顔が見えているだけ。

今更カーテンを開けたからといって何かが起こるとは思えなかった。

シャルレーヌはじっと同じ場所を見ている。


(こんなやり方をしてくるなんて……さすがサンドラクト王国よね。いかれてるわ)


リリーはいろいろな場所にぶつかりながらもカーテンに手をかける。

ゆっくりとカーテンを開けると徐々に光が漏れた。

想像よりもずっと広い物置部屋や明るくなった。

ここで自分の頬の赤みを披露しようとでもいうのか。


しかしシャルレーヌの視線の先を見た瞬間、アナベルは何が起こったのか理解できなかった。



「それ……どうして、ここに?」



確信はないが、見慣れたものがアナベルの目の前にあった。



「どうしてと言われましても……ここがお気に入りの場所らしいのです」


「お、お気に入り? 何よ、それ……」



ただ彼女がずっと笑顔でいる理由がなんとなくわかってしまった。

そこにはシャルレーヌのそばにはヴィクトールの闇魔法の姿があった。

モヤモヤとした煙を放ちながら、尖った触手をこちらに向けている。

その場から一歩も動くことができなかった。

彼女を守るように蠢く触手は明らかにアナベルに敵意を向けていた。


(……これ、間違いないわ。皇帝陛下の闇魔法よね?)


シャルレーヌはこれ見よがしに一本の触手を掴むと、頬擦りするようなに撫でている。

シャルレーヌがアナベルの問いに答えることはなかった。

膠着状態が続いていたが、乱暴なノックと共に誰かが入ってくる。



「おい……いい加減にしろ」


「あら陛下、ごきげんよう」


「ドレスとアクセサリーを届けに来た。それから今すぐに返せ」


「わたくしは何もしておりませんわ。この子がここにいたいとわたくしに会いに来てくれるのです」



シャルレーヌはヴィクトールと親しげに会話していた。

それにヴィクトールの後ろに待機しているオノレは豪華なドレスとアクセサリーが入っている箱を持っている。


(陛下が……ドレスを直接持ってくるなんて…………なんで?)


今まではプレゼントを強請れば執事かオノレが届けていた。

それなのにシャルレーヌには直接届けに来たではないか。

オノレが持っているドレスはアナベルが見た中で一番豪華なように見えた。


(……どうして。こんなこと、ありえない、ありえないわ)


アナベルが大人しく部屋で謹慎している間に何があったというのか。

明らかに二人の仲は深まっているように見えた。


(エマニュエルも何も言っていなかったわ! あの女……ッ!)


闇魔法はシャルレーヌの元からヴィクトールの元へ移動してしまった。

触手は丸みを帯びていて謝るようにくるくると回っていた。

ヴィクトールはため息を吐きつつも闇魔法を撫でた。



「ゴホッ、ゴホ……!」


「……大丈夫か?」


「っ、こほ……お気遣い、ありがとうございます」



ヴィクトールとオノレが来た途端、急に咳き込み始めたシャルレーヌの姿に目を見開いた。

先ほどまでは普通に話せていたはずなのに、わざとらしく見えてしまう。


(こんなのわざとでしょう!? わざわざ陛下の前で咳をするなんてどういうつもりよ!)


苛立ちから拳を握り込んだ。

シャルレーヌはすべてわかったうえでやっているのだと確信していた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ