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魔力0の訳あり王女、最狂につき取り扱い注意  作者: やきいもほくほく
三章 悪女のお気に入り

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「どんな方法を使ったのか白状しろ!」


「それよりも侍女を同席させてもよろしいでしょうか?」


「なっ……!? 僕は一人で来いと言ったじゃないか! どうしてここに侍女を連れてきているんだ!」



自分たちの立場は頭にないのだろうか。

約束を破ったことに怒りを露わにしてシャルレーヌを罵倒し始めたを出す。

どうやらモルガンはシャルレーヌが思うより、ずっと子どもっぽいようだ。

実際は十五歳で、まだまだ子どもなのだろうが皇帝の側近としてはどうなのだろうか。


(これはかわいらしいとはまた違う感情ですわね……)


リリーともヴィクトールとも違う。

シャルレーヌが大好きで一番かわいがっていた弟のグレゴリーは八歳だが、彼と比べても随分と幼く見えてしまう。


(グレゴリーだと思えば……いえ、偏見はよくありませんわ。何かお考えがあるのかもしれせんし)


また新しい感情にシャルレーヌは戸惑いつつも説明しようと口を開く。



「モルガン様、わたくしは陛下と結婚しているのです。モルガン様と二人きりで共にいることで立場が悪くなるのはお互い様のように思いますが……」


「…………。何を言ってるんだ?」



どうやら察しがいいタイプではないようだ。

高貴な容貌、恵まれた外見ながら、中身はかなり残念なようだ。


(謁見の時も陛下は傍若無人に振る舞いながら、動揺して失言しそうになったモルガン様を庇っていたのかしら)


どうやら彼には噛み砕いてストレートに説明したほうがいいようだ。



「わたくしと密会していると疑われたら、モルガン様は陛下を裏切っていることにはなりませんか?」


「ぼ、僕が陛下を裏切るわけないじゃないか!」


「二人きりでいるところを見られてしまえば、夜に密会していると疑われても仕方ない状況ですわ」


「はっ……!」


「わたくしはメモを持っておりますし、あなたがわたくしを誘い出したことになります。それにモルガン様に誰も連れずに来いと言われておりますから……」



モルガンはシャルレーヌの言っている意味がやっとわかったのだろう。

急に慌て始めたではないか。

匿名で呼び出されたうえに二人きりで会おうとしていたとなれば体裁が悪い。



「わ、わかった。侍女の同席を許可する! 今すぐに連れてきてくれ」


「ふふっ、わかりましたわ」



やはりモルガンはヴィクトールを裏切りたくはないようだ。


(彼は一人でここに来ているのね。なんて愚か……純粋なのかしら)


何も準備していなければ殺されても文句はいえない。言う前に死ぬのだが。

それにこの状況で動物たちが守ってくれるとも思えない。


シャルレーヌの後ろ、闇の中から音もなくルイが現れるとモルガンは驚いたのか「ヒィッ……!」と悲鳴をあげた。


(あら……この気配は)


シャルレーヌは何もない建物の影に視線を送った。

暗闇の中を蠢いているが、そこには久しぶりに感じる気配。

無意識に笑みが漏れた。

これならば不貞行為はしていないと、彼も証明してくれるだろう。



「それで……わたくしにお話とはなんでしょうか」


「だから、どんな手を使ってカラスたちを奪ったのか白状しろと言っているんだ!」


「どういう意味でしょうか」



シャルレーヌはにっこりと微笑んだ。

黙っていれば完璧な美術品のような端正な顔立ちだが、喋るとこうも残念な気持ちになるのは何故なのか。



「僕は知っているんだからな!」


「それで……?」


「それでじゃない! そのせいで情報収集がうまくできなくて僕は……っ、ヴィクトール陛下のお役に立てなくなったんだ!」



シャルレーヌはその言葉を聞いて目を丸くする。


(陛下も止めようとなさっていた情報ではないのかしら。彼の力は周知されてはいても、内容まで漏らしていいとは思えないけれど)


しかし彼が何をしようとシャルレーヌにまったく関係ないではないか。

とりあえずは笑みを浮かべつつ首を傾げた。



「今のお話ですが、わたくしになんの関係が?」


「…………え?」


「ですから、あなたがカラスがいなくなり困っていると、どうしてわたくしが責められなければならないのです?」


「それは……」



モルガンは明らかに狼狽えていた。

どうやらなんて返事をすればいいのかわからないようだ。



「こ、後宮の君の部屋の前にカラスが出入りしていることは知っているんだ。それに……っ、君がきてから鳥や動物たちがここから一気にいなくなったんだ!」


「わたくしがカラスを奪い従えているという証拠は? 本当にわたくしが来てから動物たちはいなくなったのですか? その根拠は?」


「……ッ」



シャルレーヌが問いかけるたびに、口ごもるモルガンは次第に涙目になっていく。

うまく言葉を紡げないのだとしたら少々、かわいそうだがこちらも譲れない。


(ずっと付き纏われても困りますもの)


それから何を言おうとしていたモルガンだったが、言葉が出てこなかったのかこちらを指す。



「だからっ……本当は僕と同じ魔法をつかえるんだろう!?」


「…………はい?」



予想外の言葉が返ってきたため返答に困ってしまう。

サンドラクト王国の人間であるシャルレーヌには魔法は使えない。

それは周知の事実だと思っていた。

けれどモルガンはシャルレーヌが自分と同じ魔法を使っていると決めつけているようだ。



「どんな魔法を使っているのかは知らないが、僕のカラスたちを返せ!」


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