覇王の目覚め
「もし力を持てるなら」
「もし魔法が使えたら亅
「はっ!?」
ある日の朝、神道翔は起き上がった。
「夢か・・・亅
翔は自身の部屋を見渡しそう言った。翔の部屋はシンプルで整頓されている。机の上や本棚も綺麗に整頓されている。唯一気になる部分といえば、本棚がライトノベルで埋め尽くされているところだろうか。
よく分からない夢から覚めたことで安心の感情が湧いてきたが、それと同時にどこか夢から覚めてしまったことへの寂しさがあった。
大学一年生の翔は朝の支度を整え、大学に出発した。
「おー翔!亅
「おっーす」
教室へ向かうとそこには友人の浅野光太と池田鉄矢がいた。
「おはよう2人とも」
翔はその後、2人と共に授業を受けた。テストも近いというのに翔は朝見た夢が妙に気になり、思い出していた。
「・・・る・・・ける・・・かける!亅
「っ!?な、なんだ?亅
「なんだじゃねえよ、話しかけてんのに無視しやがって亅
光太に名前を呼ばれ意識が浮上すると、光太が不満そうな表情でこちらを見ていた。
「確かにお前今日変だぞ?授業中もなんか上の空だったし・・・亅
「わ、わりぃ」
鉄矢も今日の俺を怪しく思ったのか訝しげに聞いてきたので、俺は苦笑を浮かべながら言った。
「どうせ遅くまでラノベでも読んでたんだろ、そんなんだと彼女出来ないぞ!」
「別にほしくねぇよ」
光汰のいつもの挑発に翔はため息をつきながら言った。翔は180cmで細身とスタイルも良い方だ。顔も黒髪で整っている方だと思う。光汰には作らないだけだといつも言っている。
夕方、大学から帰宅した俺は自室のベットに倒れ込んだ。
「はー」
ベットに倒れ込み気が抜けたのか、翔は大きく息を吐きそのまま目を閉じた。
「もし力を持ったなら」
「もし魔法が使えたら」
そんなことあるわけない。
「もし何者をもねじ伏せる力があったなら」
「もし何者をも寄せ付けぬ素早さがあったなら」
そんなこと…
「もし地球にモンスターが現れたなら」
「もし地球にダンジョンができたなら亅
「もし強力なスキルを得られたなら」
「もし強力な仲間ができたなら亅
そしてもし
「覇王になれたなら」
「はっ」
パッと目を覚ますと窓から差し込んでいたはずの夕焼けは消え、部屋の中は薄暗くなっていた。スマホには18時00分と表示されている。
「またあの夢・・・っ!?亅
そう言いかけた時、翔の頭に頭痛が生じた。
「クッ・・・なんだこれっ亅
翔の脳には突然様々な情報が入ってきた。それは翔が見たこともない風景や出来事であった。
しばらくすると痛みは治り、翔は徐々に落ち着きを取り戻した。
「はぁはぁはぁ・・・これは・・・世界の記憶?亅
翔には何故かこの記憶の正体が理解できた。この記憶は地球を構築するシステムの記憶だ。
「っ!?しかもこれって・・・亅
世界の記憶にはこれから起こるであろう未来の情報が記録されていた。そこには突如ゲートが出現し、ゲートから魔物らしき生命体が出てくるという風景が映し出されていた。
「いや・・・そんなことあるわけ・・・亅
この事態を信用できない翔は口に出して否定してみるも、翔の脳は既にこの記憶が真実であることを理解してしまっていた。
「だってこの記憶が本当ならこれから地球は・・・」
この記憶を信じるならこれから地球には多くのゲートが出現し、人類はモンスターと戦わなければならない。世界が変わるということだ。
「しかも最初の出現は3時間後!?」
3時間後世界にゲートが出現するということは放っておけば魔物が溢れ出し人を襲う可能性がある。
「場所は渋谷か・・・」
日本で最初の出現場所は渋谷のスクランブル交差点。なんともまあ有名な場所にと思うかも知れたないが、ゲートは人の集まる場所に開くことが多いらしい。
「って言ってもどうすれば・・・」
現状世界にゲートが出現することを知っているのは俺だけだろう。だが、普通の大学生の俺にできることはあるだろうか。
「怖い」
俺は戦えるだろうか。今まで争いなどしたこともなかった俺にそんな度胸があるだろうか。
「死ぬ」
戦えば死ぬ可能性もある。そんな事をやり続けられるだろうか。最初は生き残ってもその次は・・・
「なんてな」
正直既に俺の意思は決まっている。世界の記憶が頭に流れ込んでからずっと、俺は高揚している。あの時から俺の中で何かが変わったことは間違いない。
心は強くなりたいと勝利したいと言っている。
「行くか」
俺は何かに突き動かされるように家を出た。
とあるマンションの一室
部屋にはかすかにシャワーを浴びる音が響いている。彼女はシャワーを浴び終えると、リビングへ向かった。テーブルに置いてあるスマホに友人からメッセージ履歴が映る。そこにはURLと共に「鈴音、これ見た?」というメッセージが送られていた。URLをタップするとそこにはLive中継動画が映された。
「なに・・・これ・・・」
とある部屋の一室。
「総理!緊急で報告したいことが!」
部屋のドアの外から緊迫した声が響く。
「入れ」
奥の机に座る男性がそう言うと黒のスーツを着た男が入ってきた。
「報告を」
「はい・・・東京都渋谷区で未確認な現象が起こっているとの報告が。既にSNSを中心に情報が広まっております。」
その言葉を聞くと男は眉を動かした。
「どう言うことだ」
「なんでも渋谷のスクランブル交差点に謎のゲートの様なものが出現したとか」
男はその報告に一瞬思考を停止させたが、直ぐに冷静さを取り戻した。
「分かった。直ぐに警察や自衛隊と連携し、周囲の安全を確保しろ」
「ここだな」
翔はスクランブル交差点の真ん中に立ち止まった。周囲の歩行者はチラチラと翔を見ている。
スクランブル交差点の真ん中に立ち止まっていると言う理由もあるが、それ以上に翔の服装が原因だろう。黒のパンツに黒のパーカーを着用している。顔はフードを深く被っているため、周囲からは確認できない。
「そろそろか・・・」
翔はスマホで時間を確認し、そう言った。スマホには20時59分と表示されている。
「来る・・・亅
そしてとうとう21時00分になった時それは現れた。
「なんだあれ!亅
「えっ!亅
「お母さんあれ何ー?亅
「ちょっと何!?亅
「直ぐに離れろ!亅
翔の目の前には青色に光る次元の裂け目が現れた。ゲートは円形上に渦巻く様な様相だ。突如出現したゲートに周囲の人々は驚き、声を上げる。そんな中翔はニヤリと笑みを浮かべた。
「さあ、行こうか」
翔はゲートに右手を当てるとゲートは火花が散るような反応を見せた。翔は一切の迷いなくゲートの中へ踏み出した。




