表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/32

S様(仮名)

手元には、高そうなスタイリングジェルの容器がある。一年かけてケチケチ使ったそれは、もちろん自分で買ったものではない。


今から十年前。同じ職場に「S様」というスーパー女史がいた。


S様。当時三十九歳。歳を五回は聞き直したいくらいのお美しさ。


男児一人を捻り出したとは思えぬスタイルに、パトリオットミサイルを胸部に仕込んだ殺人的美女。


もちろん悩殺的な意味で。


そんなS様は、本当に優しく、仕事が終わった後も、俺を食事や遊びに連れ回してくれた。


S様は、バツ一でもちろんモテた。俺が他の職員との恋路を邪魔していたのではないかと不安になるが、S様からのお誘いをお断りできるはずがない。


「ジャン、今夜空いてる?」


「はい(貴女様より優先させる予定などございません)」



その当時は、ほぼ夜勤だったが、コロナのコの字もない頃であり、夜の街は元気そのもの。S様との遊び場に困ることはなかったのである。



S様は、もちろん遠目で見ても美しく、間近で見ると、化粧の薄さに二度びっくりする。長い睫毛が優雅に羽ばたく様と、胸の谷間のマリアナ海溝に戸籍が女のはずの俺も、ドギマギしたものだ。


そして、S様はこの俺に惜しげもなく色々なものをくれた。


全て大事に使わせていただいた。この手元のスタイリングジェルもその一つだ。



あれぐらい他人に優しく美しくありたい。そう思えるぐらいの方だった。


S様が、永遠に幸福で微笑んでいただけますように願いを込めて。


今週も、読んでいただきありがとうございました。なろうに登録した当初、「0ビューは、さすがにつらい」と、マリアとパトラッシュと、中学時代の友達三人だけにこのアカウントを教えた。


今や、このエッセイすら百ビュー超えてた。感謝してもしきれない。



皆様にも、幸せの粉雪がしんしんと舞い降りますように。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ